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Kaj Franck | カイ・フランク
Tumbler 1772 [ Nyppyryppy ] | タンブラー 1772

Kaj Franck | カイ・フランク
Tumbler 1772 [ Nyppyryppy ] | タンブラー 1772

Brand:Nuutajarvi | ヌータヤルヴィ
Production Period : 1966-1968

カイフランクが1966年にデザインし、ヌータヤルヴィガラス工場で1966-1968の期間生産されたタンブラー1772。カラーはクリアのみ、サイズは3種類、10cl、20cl、30cl。フィンランド語でNyppyryppyという名が付けられていて、それはつまり日本語でニキビやシワみたいな意味です。ファセット タンブラー1729と同じく、このグラスも柄の彫られた金型に、回転させることなく薄くガラスを吹きこみ作られています。マウスブローで作られているので、ガラスの厚みや、吹く具合で柄の出方が違い、その違いが大きくあるものだから、一見すると木型を使っていたのかな?(ありえないけど)と思えもします。パターンが単調でなく、深さに強弱があるので、柄の出方の違いも複雑となり、量産品なのに、どこかユニークピースのような独特な雰囲気が生まれる。カイフランクのグラスの中でも、特に素晴らしいデザインの一つと言えるでしょう。

このグラスが製造されていた1960年代は、型吹きガラスの製法が広く使われるようになった年代です。この製法により、日常使いのグラスの表面に柄を入れることが可能になっただけではなく、生産の効率も上がっています。例えば表面に柄が入ることにより、スムースな表面のグラスより細かな傷が目立ちづらく、ロスつまりB品が減る。デザインと効率化を兼ねた実にうまい生産方法だったのです。カイフランクのファセットタンブラー1729(1959-1964)、ルスティカタンブラー1770(1963-1970)、そしてこのタンブラー1772(1966-1968)などが型吹きで製造されています。

さて、このタンブラー1772が生産開始された1966年というと、ヌータヤルヴィガラス工場は大量生産に向けたプレスガラスへの大きな転換を図っていた時期でして、そんな中で同年の1966年にオイバトイッカは型吹きガラスでフローラシリーズを発表、これが大ヒットします。2年後この勢いはとどまることを知らず、ステム付きのボウルやピッチャーなど、バリエーションを一気に拡大。そんな人気の陰でNyppyryppyの愛称で呼ばれていた、このタンブラー1772は生産終了。限られた型吹きガラスの生産キャパシティの問題なのか、人気のフローラが増えた分、このタンブラー1772が終了となったのかもしれません。

不調子な凹凸の連続

このタンブラー1772の写真は、複数個を並べ、それらが重なるように撮影がされている。これというのは僕の中で被る物がいくつかあり、その一つが、このグラスと同時期に作られていた、アテネの朝(Morning in Athens / 1954, 1968-1975, 2012-)であり、カイフランクの作品の中でも特に人気も価格も高いクレムリンベル(Kremlin Bells / 1957-1968)である。クリアガラスの不調子な凹凸の連続というのは、とても綺麗に見えるものだから、ついそんな景色を見たくなり、沢山集めてみようと思ってしまうのです。