
東屋 / 伊賀 丸湯呑
まずは形から
今の自分の生活を振りかえってみると珈琲や紅茶に比べて日本茶を飲む機会がとっても少ない。急須も持ってて家に日本茶もあるんだけれどあまり飲もうって流れにならない。でもテレビで長寿な街は日本茶を飲んでる率が高いなんて番組をみると、やはり日本茶が一番だ!飲むようにしよう。なんて気分だけは盛り上がり飲み始めてはみるものの数日後には普段の生活に戻っていて新たなチャレンジは日に日に薄くなっていく。
それで生活にうまく組み込めない理由はお気に入りの湯呑がないからじゃないのか?と突如思いついてしまったのでそのまま勢いにのり、僕好みの湯呑を東屋さんに作って貰う事にしました。どうせ作るのなら「10年後にも買ってよかったって思える物を作りたい。」って考えがガッチリある東屋さんです。細かな希望をいえばずっと生活を供にするわけなので味わいのある表情がよい手挽きがベスト。形は少し小ぶりというかお寿司屋さんの湯呑みのような大きな物ではなく手取り感のよいサイズ。そして丸みのある優しい形がいい。贅沢をいうなら、手描きの絵もあれば最高です。と、そんな僕の希望を全て聞いてくれてそれを調整し綺麗にまとめ完成させてくれたのが、この丸湯呑。
価格も僕の希望通り。非常にバランスよく全てが大満足な仕上がりです。実際に家に持ち帰り、使い始め既に半年以上が経過しています。そして家でお茶を飲む頻度はどうなったか?といえば、まだ飲まない日も正直ありますが頻度はかなり上がってきています。和菓子をお土産にもらった時やたまには朝食後にも珈琲ではなく日本茶を選ぶ日もあります。そして、なにより和食の御飯の時に温かいお茶を一緒に飲むようになりました。そう。そうなのです。湯呑を我家へ連れてきて良かったって一番強く感じたのはソコ!!和食の御飯の時。食事の時、温かいお茶を飲む。気付けば外食の時だけの習慣になっていて生活から消えている人も多そうなポイント。でも、普段の生活に復活させてみると素晴らしく心地よいです。使っている物、持っている物でその場の空気は大きく変わるからお気に入りの物があるからこそ生活に新しい流れをとり込んだり忘れていた生活の形を取り戻すことができる。まずは形からっていうのも悪くないですよね。

蓮華紋掻落

呉須鉄十草

呉須鉄太十草

左から呉須鉄太十草、呉須鉄皮鯨、呉須鉄十草

呉須鉄十草

呉須鉄太十草






使い始めは目止めし
飲み残しを放置せず
洗った後はしっかり乾かす
陶器(土もの)と呼ばれるやきものは、磁器に比べて密度が低いので水分を吸います。ですから使い始めと、使っていく中で知っておいて欲しい事があります。まず、使い始めは目止めをしましょう。お米のでんぷん質で素地の目や貫入などを埋めるのが目的でして、それにより水漏れも抑えられますし、水分を吸収しにくくなりますからお茶の匂いうつりや、染みなどもそれなりに抑えられれます。色々なやり方があると思いますが、ここではスコープが聞いていつもやっている方法を紹介します。まず、お米のとぎ汁を鍋にいれてよくかき混ぜ、湯呑を鍋にいれて弱火で10~20分ほど煮沸します。その後、取り出してゆっくり冷まし、冷めましたらヌメりを落とすように水洗いをして乾燥させて終了です。
そして、もうひとつ。使う前の丸湯呑に綺麗な水を十分に吸わせておけば、その後に注いだお茶を吸いにくくなり、つまりは茶渋による貫入の具合が全体的に優しくなり、飲み物のにおいうつりを防ぎます。お茶の準備をしている間にお湯を注いでおけば、湯呑を温めておくついでに水分を吸わせておけるので、一石二鳥でよいかと思います。逆に、茶渋による貫入を楽しみにしている方(実際スタッフにもいます)は、あえて気にせず使っていれば貫入が入っていく姿を 順調に 楽しめるでしょう。
最後に、使い終わりましたら早めに洗い、よく乾かしましょう。お茶の飲み残しをそのままにしたり、他の食器と一緒に水につけておくのは止めた方がよいです。汚れた水につけますと、それを器が吸ってしまい、においや染み、カビの原因となります。また陶器は乾いたように見えて乾いていないものでして、どこかに仕舞い込むようでしたら数日かけてしっかりと乾燥させて下さい。普段は出来る限り、風通しのよい所に保管しましょう。

スコープでは宮島と
一緒に使うことも多い
宮島(しゃもじ)を水に浸すのに、「丸湯飲みを使えばいいんですよ。」と聞いてから、スコープの和食テーブルには宮島と、丸湯飲みを一緒に使うことが多くなった。和の道具同士、相性もよく、雰囲気を壊すこともないこの使い方。僕たちはすごく気に入っていて、本来の湯飲みとしての使い方より、この使い方で登場することの方が多いような気がしています。

石灰 / 志野 / 呉須鉄十草
2020年12月16日
8年目の貫入
家の中でお茶を飲むのは私だけなのに、丸湯呑を食器棚に5つも所持しています。釉薬違いや手描きの柄などで、ラインナップは10種類もあり、個別販売でその表情や形なんかを見てしまうと、どれもこれも欲しくなり、正直10種全部欲しいくらいです。しかし理性で抑えて、今は5つに留めています。さて、その5つの丸湯呑、最初は柄の好みだけで選んだのですが、使っているうちにどんどん貫入が入ってきて、8年経った今では、表情がかなり豊かに育ってきています。貫入とは陶磁器の釉薬の部分にできる細かいひび模様の事です。釉薬が石灰ベースのものは、貫入が細かく均一な網目状に入る傾向にあり、白い志野などは釉薬のタイプが違うのか、大胆な感じで不均一な貫入に育っています。これは想定外の驚きでした。元々の絵柄に、私が茶を飲み続けて刻んだ貫入が重なり合い、 もはやオリジナル丸湯呑を仕上げたかのような喜びを感じます。貫入を愛でて喜ぶのは日本人特融の感覚なのでしょうか。子供の頃は祖母の家の湯呑を見て、ヒビ割れしてる!と言っていたはずなのに。不思議なものです。(スコープ酒井)
- 耕房窯 (こうぼうがま)
「この土を使うと手が痛くなるので、
1日に作れる量は手が使えるだけ」
ザラついた長石を取り除かず作るため伊賀シリーズの土は職人泣かせの土です。熟練の職人は「この土を使うと手が痛くなるので、1日に作れる量は手が使えるだけ」と笑いながら教えてくれました。機械で綺麗に精製された土とは違うこの荒々しさが、1つ1つ食器の表情となり、また食器になる前の土の姿をはっきりと残してくれます。
伊賀について
商品スペック
材質 | 釉薬 : 黒飴(くろあめ) / 志野(しの) / 石灰(せっかい) / 松灰(まつばい) 絵付きのものは石灰(せっかい)がベースになります |
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寸法 | 約Φ74×H75mm / 163g *詳細なサイズはカート上をご確認ください。 |
生産 | Made in Japan |
備考 | 電子レンジ 〇 / 食器洗浄機 × / オーブン × 使い始めは目止めし、飲み残しを放置せず、洗った後はしっかり乾かしてください。 |
目止めについて |