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東屋 / 菜箸

手かんな仕上げ
木曽ひのきの菜箸

丁度よい太さで、手触りもよい。材料に木曽ひのきを使っているから持って軽く、柔らかいから食材を傷つけにくく、見た目にも清潔感がある。さて、この菜箸、よく見るとまん丸ではない?ないね。丸く見えて、実は平面が寄せ集まって丸く見えている。これは一般的な菜箸とは少々作り方が違う。鉋(かんな)を使い、手仕事で一本一本仕上げてあるのだ。機械で削ってしまえば簡単なところ、わざわざ一本一本、鉋をかけて丸に近づけていく。そうすることで表面に手仕事の跡が残り、そこがいいんじゃない、って、実はそればかりでもない。

鉋をかけた表面には良い点がある。古い木造建築が雨に強い理由の1つに、表面を鉋で仕上げてあるからだと聞いた。サンダーで仕上げられた木の表面はツルツルに見え、実はザラザラと荒れている。それに比べて鉋をかけた木肌は、刃物でスパッと切られているから、繊維がつぶれておらず、荒れていない。だから水を吸いにくく、汚れにくく、劣化しにくい。余計なことをせず、手かんな仕上げで長く使えるようにと作られた菜箸、これは上等な物だ。表面の小さな面一つ一つを眺めていると、何だかそう感じてしまう。僕が好きでよく行くイタリア料理店、まず最初に出てくる一皿は決まって、野菜と塩だけで作ったスープなのだが、この菜箸を使っていると、なんだか、そのスープを思いだす。

さて、鉋仕上げだからって水分を吸わないわけではない。無塗装の木曽ひのきなんだから当然吸う。だから煮物なんかに使っていれば色も付く。使い込んでいく中で、こんな事を考えた。色がついてくれば、それは何に使っているのかよくわかる。わかるってのもいいもんだと思う。表に野菜の絵、裏に魚の絵が小さくポイントとして付けられた俎板を見た事あるけれど、それに近いような事が菜箸でもできるんじゃないか。これは濃い目の煮物用、少し焦げてるから炒め物用、これは綺麗だから取り分け用か。そんな風に、菜箸をいくつか持って、使い分けるの、いいじゃない。最初はテーブルに出して取り分け用に使い、段々と料理道具になっていく。つまり、何組みかあるといいと思う。注意、売り文句ではない。こうしてみたいって話。

東屋は流石だ

いい菜箸がない、東屋さんで作ってくださいよ。リクエストを続けて、かれこれ何年か過ぎた。やってるよってミーティングの度に言われるのだけれど、長らくできてこないから、菜箸作るのってそんなにかかるもんなのなのか?そんなに何があるのか?と実は思っておりました、すみません、東屋さん。でも、出来上がった物は、全く自分では思いも付かない方向に完成していて、頭が下がり過ぎて地についてしまいそう。東屋は流石だ。安全と言われる塗装であっても、使わない方が安全であるのは間違いない。塗装された菜箸も、使っているといつかは木地が出てきて、無くなった塗装はどこいった?そんな疑問が頭に浮かぶ。やはり余計なことをしない方がいい。特に口にする物、体の中に入る物は自然材料だけがいい。東屋の製品はどれも多くの引き算がされている。便利で安価を実現するための要素が引かれ、正しい形に巻き戻されている。この菜箸は手カンナで仕上げただけ、木地箸は磨いただけ。何かで覆い包む方向ではない。簡単に売れる物を作るのではなく、ずっと安全に使い続けられる物を作る。東屋は流石だと思う。

社長、見て欲しいです。
これ、どうでしょう?

菜箸表面を良くみていると真っすぐになっていない面、少しばかり角度が付いている面がポツポツある。木曽ひのきは柔らかいので、ちょっとした小傷も見られる。手仕事で仕上げた日用品、多少のことはなにかしらある。でも、それはそれでいいじゃない。使っていれば全く気にならないことであり、気になるのは届いた瞬間だけのことじゃない。スタッフからこの緩やかな凹みはOKなのかどうか、確認して指示が欲しいと言われ、それを見た時、僕はそんな事を考えた。2007年には信州の名工に選ばれ、2018年現在90才になる職人さんと30代2人の職人さん、計3名だけの製箸所(長野県)。そこで、この木曽ひのきの菜箸は製作されている。こういった物は、あまり細かいことは言わず、そのまま受け入れ、そのまま使って欲しい。あれこれ細かなことを言いだすと、その言葉が物が変え、作り手のやる気も削ぐ。その先には、どこにでもある塗装された菜箸ができてしまうか、高価な物となってしまうか、終わってしまうかだ。静かに、そのままを受け入れて使い続けるというのが僕は何より大事だと思う。なので、皆さん、そこ、よろしくお願いします。

東屋 (あづまや)
木下商店製箸所
山一 (やまいち)
材質木曽檜
寸法約W305×Φ6mm(先端 Φ5mm)7g
生産Made in Japan

東屋 菜箸

  • ¥1,700(税抜き)
  • 次回 入荷未定