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2018年8月1日
冬瓜

暑い日が続きます。食欲だけでなく、キッチンに立つ意欲もおちこむ季節ですよね…。どうにかやる気になってもらえるよう、今回紹介する「冬瓜の豚汁」と「料理すること」の魅力について僕なりにちょっとマジメに書いてみようと思います!

冬の瓜と書いて、トウガン。漢字で見ると冬野菜のようですが、冬瓜は夏の野菜です。丸のまま冷暗所で保存すれば冬までもつ、ということでのネーミングだそう。おかげで旬の時期が分かりづらくなってしまったというあたりは否めないですが…。冬瓜といえば、えびと煮たものが定番で、手間のかかるイメージでしょう。でも今回の豚汁はだし汁ナシで美味しく仕上がりますし、生姜の爽やかさもきいて、軽やかな冬瓜が活きる夏の味わいです。

では、ここから作り方を簡単に。冬瓜は薄く皮をむいて種とワタをのぞき、食べやすい1cm厚くらいの大きさに、豚肉も食べやすい大きさに切ります。

鍋でごま油とせん切りの生姜を熱し、香りが出たら、冬瓜と豚肉を入れ軽く炒めます。そこに水を加えて冬瓜に火を通し、味噌をといて完成です!

ポイントは2つあって、一つはだし汁を使わない分、香りやコクの出る食材、ごま油、生姜、豚バラ肉を組み合わせること。もう一つは冬瓜にじっくり火を通すこと。味噌をとき入れる前に7~8分煮て、味噌を入れた後もさらに数分、冬瓜に少し透明感が出るくらい煮ましょう(写真は味噌を溶き入れてすぐ。ここから2~3分煮ると透明感が出てきます)。とろっとした柔らかな口当たりが、冬瓜のやさしい味わいにピッタリですから。

最近、これからも料理をがんばろうとあらためて考えるきっかけがありました。身近な人が病気で倒れてしまったのですが(いまは快方にむかっています!)、回復を待つなか、その人に食べさせてもらった料理が色々と頭にうかんできました。その人らしさのつまった料理で、外では買えないものであり、美味しさ以上にそこに価値があるんです。こんな風に自分も誰かに思い出してもらえる料理を作っていけたらいいな、そういう料理作りの手助けができたらいいなと、僕のひそかな目標になりました。この冬瓜の豚汁も、外では食べる機会のない料理だろうと思います。せっかくキッチンに立つのなら、家族に、自分に、そんな料理を作ってみるのはどうでしょう。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ

2018年7月1日
とうもろこし

炊きあがってくるときの香ばしく甘い香り、フタを開けたときの湯気のむこうには瑞々しくぷりんとした黄色の粒々たち。米もとうもろこしも芯からふっくらアツアツの炊きたてをいただくと、しみじみとした美味しさがあじわえます。

今回はきっとみんな大好き「とうもろこしご飯」のすすめです。お気に入りの鍋で炊いて、炊きたてを鍋ごとテーブルに運べば、おもてなしにもイケる存在感のご飯です。

さて、この「とうもろこしご飯」の味付けはシンプルに塩だけ。米2合に対してとうもろこし1本くらいが具沢山に感じられて嬉しい仕上がりになると思います。 とうもろこしは長さを半分にしてから縦に置き、上から包丁でそぎ落とすように実を切り落とすとやりやすいです。米2合を研いで水加減して、30分ほど置いてから塩小さじ1強を加えて溶かし混ぜ、とうもろこしの実と芯をはじめから入れて炊飯スタート。

10年以上前に料理屋で修業していた頃から作り続けているこの炊き込みご飯ですが、去年から一つだけやり方を変えました。それは、「とうもろこしの芯も一緒に炊いちゃう」ということ。芯の有り無しで食べ比べてみたところ、芯入りの方が、ご飯にとうもろこしの風味や甘みがプラスされて、より美味しかった!

これまで芯捨ててたなーと、最近は10年分の敵討ち的な心もちで、実と一緒に芯を必ず入れてから炊飯するようにしています。知らないことがたくさんあるから料理って楽しいのです! ちなみに、とうもろこしを買うときは、手に取るときに穂先の方を軽く握ってみるといいです。ずっしりと実が詰まっていそうで太いものなら、間違いなくしっかり美味しく育ってくれています。

スーパーでとうもろこしを見かけるようになると、野菜作りが好きな祖父の家で、とうもろこしの蒸したものや、キンキンに冷えたすいかがおやつでよく出てきたことを思い出します。ついでに祖母があんなこと言ってたなぁとか、いろんな出来事が頭に浮かんできたりします。とうもろこしは、僕にとっては子どもの頃の夏の思い出のひとつとも言えますね。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ

2018年6月1日
ズッキーニ

ここ数年の家庭へのズッキーニの浸透力たるやおそるべし!最近は庶民派スーパーでもズッキーニが並ばないところはないんじゃないかというくらいの人気っぷりですよね。きゅうりのような、なすのような、野菜自体のことも使い方も、知っているようで知らない“ズッキーニ”が今回のテーマになります(連載2回目、まだまだ手探り状態ですが、この記事を読んで「ズッキーニを思わず買ってしまった!」なんて声が聞けるようになるのが密かな目標です…)。 さて、話を元に戻しますと、トマトたっぷりのラタトゥイユに入っているイメージが強いズッキーニは、そのトマトと旬を同じくする夏野菜。見た目は太いきゅうりのようだけど、意外にもかぼちゃの仲間なんです。暑くなりはじめる6月からが旬で、表面に張りとツヤがあるものを選ぶとよいです。みずみずしいズッキーニは、包丁で切ると切り口から水が浮き出てきて、切った部分を合わせると再びしっかりくっついてしまうほど。

冨田家の食卓にもまさに6月頃からズッキーニが頻繁にあがるようになります。炒め物や揚げ物に使ったり、みそ汁の具にしたり、薄く切ったものに軽く塩をして浅漬け感覚で食べることもあります(なので、料理への扱いという点ではなすに近い感覚かも)。 淡白だからこそいろいろな食べ方ができるわけですが、いちばんのおすすめは大きく切ってじっくり加熱。油とも相性がよいので、調理に油を使うことで、味も濃厚になり、ズッキーニ本来の甘さを存分に楽しむことができると思います。

家では手軽にパン粉焼きがおすすめです。ズッキーニはヘタを切り落として、縦半分に切ります。切り口を上にして塩をふりかけ、さらにパン粉を薄く全体に広げます。あとは魚焼きグリルの網にアルミホイルを敷き、その上に移したらオリーブオイルをパン粉の上から多めにかけましょう。じっくり弱めの火加減で焼くこと12~15分でできあがり。食べるときにカレー粉を少しふりかけても美味しく、パン粉はカリッと中はトロッと、風味はちょっぴりスパイシー、食欲そそる仕上がりになってくれること間違いなし!

ちなみに、パン粉はこげやすいもの、そうでないものがあるので、はじめの7~8分は弱火で加熱し、後半は様子をみながら軽く焼き色がつく火加減に調整して、さらに数分ほどじっくり火を通すと失敗なく仕上がりますよ。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ

2018年5月1日
そら豆

僕は野菜を買うとき、野菜の鮮度を見るのはもちろんですが、必ず産地も一緒に確認するようにしています。「あ、この近くで採れた野菜だな」とか、「これはけっこう遠くから来たなぁ」とか。流通も保存技術も、昔に比べるとグレードアップして、そのおかげでスーパーに並ぶ野菜の旬が少しわかりづらくなっていますが、「産地情報」をマメにチェックすれば、ふとした時期に遠くから運ばれてきていた野菜が地元のものに切り替わったりして、本来のその野菜の旬を見つける手がかりにもなると思います。

例えばそら豆。貸し農園で畑をやっていた頃に自分でも作ったことがあるのですが、僕の住む地域では年末の寒い時期に植えてから、5月、6月といった暖かくなったころに収穫期を迎えました。そして、収穫後に長期保存できる野菜ではないから、自然と美味しく食べられる旬の時期も短くなります。 そんなことを自分で体験してからは、地元のそら豆を見つけると特に「おぉ、いまだけの特別な野菜だもんな」というふうに気持ちが盛り上がって、つい買い物かごに入れてしまいます。

そしていざ、さや付きで買ってきたそら豆を家でむいてみると、「さやの割に実が少ない…」「小ぶりな実が入ってた…」ということも結構あるかと。さやをむいたら中身がすかすか、なんてことがないように、購入時にはさやにつやがあってふっくらと均等に膨れているかどうかのチェックもお忘れなく。 とはいえ、少し運まかせな部分もあるので、小ぶりなそら豆こそのしっとりとした美味しさを楽しもうとか、小ぶり=皮もやわらかいので、これは薄皮ごと食べて食物繊維をとろっかなと、どんなそら豆に当たっても前向きな発想に方向転換ができると気分よく調理に移れる!(と自分にも言い聞かせてます)

そら豆を家で手軽に美味しく食べるおすすめの方法は「塩ソテー」です。さやから実を出したら黒い筋とは反対側に1cmくらいの浅い切り込みを入れ(後から実を取り出しやすくするため)、薄皮がついたまま炒めます。

フライパンに少し多めの油を入れて火にかけ、熱くなったら弱火に。そら豆を重ならないように広げ入れて、あとは両面に少し焼き色がつくまで5~6分じっくりと炒め、最後に塩をふればできあがり。炒める途中はフライパンを振らずに、裏返すのは箸を使って1回だけ!というくらいの気持ちで、確実に片面ずつ火を入れていきましょう。

こうしてじっくり炒めることで、塩ゆでとはまた違う、より濃い豆の風味だったり、焼けた皮からの香ばしさだったりが楽しめます。また、油で炒めるからこそ、熱々のできたてにレモンをしぼっても美味しい!これはほんとにビールがすすみます。産地なんかもチェックしつつ、新鮮なそら豆を見つけたらぜひ作ってみてください。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ

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