Hannan Pikku Juttuja ハンナの小さなお話 / vol.3 フィンランド式“コーヒー”へのご招待

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“お茶の席”ならぬ“コーヒーの席”

もしあなたがフィンランド滞在中に、どなたかのお宅に“コーヒー”へ招かれる機会がありましたら、是非その招待を受けてみて下さい。それはただ単に“フィルターコーヒーをカップ一杯飲む”と言うことではなく、“強い強い北欧の伝統的な生活の一部に参加する”ことであり、それはとても面白いものなのです。都会の若者達の間では、こういった事がどんどんなくなってきているので、このような伝統的な体験が出来るのは地方の町や、お年寄りのお宅で、もしくは知人のサマーハウスで・・・といったところでしょうか。

この、“お茶の席”ならぬ“コーヒーの席”には、お決まりのやりとりがありますので、前もって知っておかれると良いでしょう。筋書きはおおよそ決まっていて、招待したお宅の奥様は、おもてなしのために準備した事について、たくさんの謙遜をします。例えば、ケーキやクッキーが少なすぎたとか、ピパルカックは真っ黒でクリスマスパイはすっかり口を開いてしまっているしプッラはパサパサしているし・・・といった具合に。

反対に招かれた方々は、この奥様のおもてなしについて、時間の許す限り褒めちぎり、感心し、食べられるだけ食べます。(あなたのプッラはいつもとてもしっとりしているけど、いったいバターはどれくらい入れるの?などなど。)信じていただけるかどうか分かりませんが、このフィンランド人の“コーヒーの席”のやりとりに、私はいつも日本を感じています。

フィンランド式“コーヒーの席”

そして、コーヒーの席にいらっしゃる時には、小さなお花のブーケをご用意下さい。それは招待先のお宅に伺い、初めに奥様に面したときにすぐに渡すのがフィンランド式です。(その際、『こんなに小さな物でお恥ずかしい…』などの謙遜の言葉をお忘れなく。ブーケをもらう奥様は、『なんて素敵なブーケでしょう!こんなお気遣いはよろしいのに…』などと応えます。)

席には自分からは近づかず、招待した側の奥様に勧められてから着くようにしましょう。また、たとえ勧められても、すぐに座ってはいけません。席にはまずお年寄り、そして遠方からいらしている方に先に着いていただくのが順番です。この際、“誰が始めに席に着くか”を上品に喧嘩することが常です。若い人、子供は最後に席に着きます。コーヒーのサービスも同じ順序で、まずおじいさん・おばあさんに、その後に他の人たちに勧められます。

招かれた方々は、「なんて素敵なテーブル・セッティングでしょう!」や「まさか、私たちだけのためにこんなにたくさん準備したわけじゃないでしょう?」といった言葉で感激を表現します。奥様はもちろん大変な苦労でこの準備をしたわけですが、それでも「忙しくて全然特別なものは準備できなかったのよ。」などと言いながら、色とりどりのケーキやクッキーやパイなどを次々とテーブルに運んでくるのです。

コーヒーの席には普通塩味の物が一品あり、その他はいくつもの甘いもの、例えばブルーベリーパイなどのパイやケーキ、クッキー、コルバプースティ(シナモンロール)などのプッラの類、ピパルカック(ジンジャークッキー)などが登場します。(もしテーブルにブルーチーズがあったら、それはピパルカックにのせる物です。フィンランド人はこの味のコンビが大好きなのです。かなり変わった組み合わせですが、機会があれば是非一度試してみて下さい。)

1杯目のコーヒーを飲み干したころには会話が弾んできます。コーヒーの席ではお互いの近況報告や自分の失敗談などを話題とし、最後にはもちろん噂話に花が咲きます。親戚や友人の誰が誰とお付き合いを始めたとか、子供が生まれた、太った、痩せた、職場を変えた、家を買った…などなど。こういった情報はコーヒーの席での会話なしには、きっと得ることが出来ないでしょう。

コーヒーと共に出される塩味の一品

コーヒーと共にお出しする塩味の一品については、フィンランド人女性たちにとって興味深いテーマで度々話題となります。甘いケーキばかり次々と立て続けに食べられないので、塩味のものを一品はテーブルにお出ししたいのです。しかしながらテーブルには小さな取り皿と小さなコーヒースプーンを用意するだけで、フォークやナイフはお出ししません。これだけの道具で食べることの出来る塩味のものは何なのか?この問題には、それぞれの主婦が自分の奥の手を持っているものです。私の友人達も、ほうれん草パイとかチーズパイとか、それぞれ美味しいパイを作る人がたくさんいます。が、私の秘密の武器はグラーヴィロヒ(サーモンの塩漬け)で作ったオープンサンドイッチです。これは作るのがとっても簡単で味は天にも上りそうなくらい美味しいのです。 お客様をご招待する者として、いらしてくださった方々がこの席をどんなに楽しんでくださっているか、コーヒーを2杯、3杯と召し上がり、またもう一つ、とサンドイッチを取る姿を見ることはとても幸せなことです。

最後に、招かれた方々は帰り際、「今日はコーヒーをいただきにうかがったのに、すっかりご馳走になってしまって…」と予想以上のおもてなしを受けた事への感謝の気持ちを伝えます。そして、より礼儀正しくありたい時には、今回招いて頂きました方々に、いつ我が家のコーヒーの席へ来て頂けるかを決めてしまうと良いでしょう。

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材料

 

3枚におろした鮭〈刺身用〉

 

海塩
グラニュー糖
ホワイトペパー、ブラックペパー

(もしあればディル適宜)

 

準備
  • 調味料()をすべて一緒にボウルに入れ、混ぜておく
  • 深さが3cmくらいのバットを用意する
  • 重石を用意する

このレシピは私の祖母から受け継いだものです。

1000:100:10:1

この比率で作ります。つまり、もし鮭が1キログラム(1kg=1000g)なら、海塩が100g、グラニュー糖が10g、そしてホワイトペパーとブラックペパーの混ぜたものが1g、となります。(もし鮭が400gなら、海塩が40g。グラニュー糖が4gというわけです。)

このレシピはそれほど厳密に守る必要はありません。大体でいいのです。

  1. 3枚におろした鮭から骨を取り除いてください。
  2. バットの底に、調味料を混ぜたもの(大さじ1杯分)を振り入れます。そこへ、皮が下になるように鮭を入れ、残りの調味料をすべて鮭の上に広げてください。もし、ディル(セリ科のハーブ)が手に入るようでしたら、細かく刻んで最後に乗せます。
  3. 鮭の上にラップをかけ、その上に重石をします。

    重石は鮭の重さの半分以下の重さのものを使ってください。

  4. 12時間後、塩具合を確かめます。鮭の端のほうを薄く削ぎ切りしパンに載せて食べてみましょう。(私のレシピでは、塩の分量がとても多くなっています。そのため、鮭は早く塩漬けされますし、さらに重石は塩漬けの速度を速めます。)私の場合は、24時間漬け込みます。鮭からはたくさん水分が出てきますが、これは随時バットから取り除いてください。
  5. 自分好みの味加減になりましたら、鮭の表面に残った調味料をナイフでそぎ取り、刃の長い包丁で薄く削ぎ切りにします。
  6. ライ麦パンがありましたら、バターを薄く塗り、その上に薄く削ぎ切りした鮭を乗せます。普通の食パンも鮭との相性はとても良いです。ディルが余っていたら、飾りに使うと良いと思います。


    冷蔵庫で何日間持つか、ということですが、残念ながらわかりません。我が家ではいつも大体2日で食べきってしまいます。1-2回で食べてしまうくらいの量を作るといいでしょう。

このコラムの写真は、今でも頻繁にフィンランドの伝統的なスタイルでコーヒーが振舞われている場所、私の母・インケリと父・パーボの家で撮影しました。

テーブルにかかっているクロスはインケリが自分で織ったもので、糸も自分で紡ぎました。自分で織ったテーブルクロスを使うことは最も伝統的で、最も素晴らしい事ですが、多くの場合はお店から買ってきたクロスを使います。私はマイヤ・イソラが1950年代から60年代にデザインした古いマリメッコの布を使うのが好きです。ラプアン・カンクリ(LAPUAN KANKURIT)のモダンな麻のテーブルクロスも好きです。写真に写っている陶器の花瓶はアラビアの60年代のもので、アニッキ・ホリサーリ(Annikki Hovisaari)のデザインです。

インケリが好んで使うコーヒーカップは、やはりアラビアの60年代の物で、彼女はこのあたりの物をいくつもの食器棚がいっぱいになるほど持っています。インケリに限らずフィンランドのコーヒーの席にはいつでもアラビアやイッタラのカップが登場します。多いのはやはりティーマ(Teema)、そして子供のいる家庭ではムーミンのマグカップです。マリスコーリ(Mariskooli、日本語でマリボウル)が加わるとテーブルが華やかになります。

母は、銀食器に価値を感じる年代で、銀の砂糖入れ、銀のピッチャー、銀の燭台、そして銀のスプーンなどでテーブルセッティングをします。私の年代はあまり銀製品にはこだわりはなく、素材は銀でもステンレスでも陶器でも何でもいいのです。最も大切なのは素材でなく、それがどの有名なフィンランド人デザイナーの作品かということです。