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坂本龍一さんと1時間みっちり話した内容をそのまんま源泉かけ流し。

取材・開発


坂本龍一さんのレーベル、コモンズの皆さんがスコープをご贔屓にしてくれているというミラクルなご縁もございまして、ライブやフェスで販売されるタオル『ハウスタオル坂本龍一特別版』を作る事になった勢いにのり、スコープでも販売する事になったもんだから、思い切って対談をお願い致しましたら、レコーディングで超絶忙しい所、時間を作って頂きまして実現してしまったというスコープ夢の対談です。場所は青山にあるレッドブルスタジオ。撮影は写真家でもあり映画監督でもある若木信吾さんにお願いし、どうしたスコープ!消える前の花火の瞬きではないか?とどこか儚さと危うさに僕の緊張感をおおいに交えまして、アッと言う間の1時間をそのまんまお届けします。僕の言葉が少し横着に読めてしまう部分がありますが、そこは猛烈緊張の相槌でして、小声ですから実際は横着ではありませんと前もっての注釈。安心して下さい、僕はいつでも小物感全開ですよ!ではでは、最後まで読んで貰えると嬉しいです~。

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登場人物 / 教授:坂本龍一さん、シャ:スコープシャチョウ、マネ:マネージャー兼コモンズの方、
加藤:コモンズの方、若木:写真家の若木信吾さん、湯田:コモンズの方(話してる分量順)
写真撮影 / 若木信吾
撮影場所 / Red Bull Studios Tokyo

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教授:シャチョウですか。
シャ:はい。44歳です。
教授:若いな~。
シャ:いやいや…今日はありがとうございます。よろしくお願いします。
教授:ここでやりますか。ここに座るの??
シャ:はい、じゃあ僕はここで。よろしくお願いします。(冷汗)
加藤:今日は一時間シャチョウとお話していただきます。お話と撮影、最後スコープさんから次回タオル再販売の際のプレゼント用のサインをお願いします。
シャ:すいません、ではよろしくお願いします。
教授:何を話したらいいんだろう…。
シャ:いや、先ずはタオルの結果報告をさせていただこうかなと思いまして…。へへへ…一応総数でいきますと、フェイスタオルが1319枚、ミニバスが782枚、ほぼフェイスについては一日で完売したので。
教授:へぇ~。
シャ:いや、すごかったんです、僕の友達周りも取引先もみんな、え、坂本龍一さんですか、みたいな。それで一気に注文がぱぱっと来てみんなラインで連絡くれたり、あとインスタグラムで坂本龍一さんのCDとタオルを一緒に写真撮って投稿してくれたりして、結構おもしろい動きになってて。あと、yahooニュースにものせていただきまして…。
教授:へぇ~
シャ:はい、とてもうまくいきまして、ありがとうございました、と。
教授:いや素晴らしいです。
シャ:で、また今も売り切れちゃってるので、バスタオルも作ろうっていうリクエストをいただいたのでそれはもう作ってます。
教授:はい。
シャ:はい、で、それは10月に全部そろいますので。
教授:バスタオルはなんか、あんまり出ないんですか?
シャ:いやいやいや、そんなことは無いんですけど、最初がフェイスタオル一色だけっていうお話だったので、それが3色に増えて、さらにミニバスもってなると、ちょっとこれは多すぎるかなと思って、まあバスは置いとこうっていうことになったんですけど、まあこれだけ人気なら、是非、やらせていただければと、思っておりますので…(魂抜けかけ)。
教授:笑
シャ:すいません、僕、坂本龍一さんの音楽を聴く歴が非常に長いので。
教授:へぇ、そうなんですか??
シャ:はい。あの、小学校の時に、いとこがすごいお金持ちで、百何十万のステレオを買ってもらってて、そこでYMOがもうガンガンにいつも流れてて…小学校の時にそれを聴いていて。そして初めて買ったレコードが「音楽図鑑」、あ、カセットなんですけど。
教授:あ、はい。そのいとこさんはいまでもお元気ですか?
シャ:いやーもうずっと会ってないのでわかんないんですけど。
教授:そうですか…今でもお金持ちなんですかね?
シャ:いやーお金持ちじゃないと思います。今はもう流石に。
教授:(苦笑)なるほど。
シャ:「セルフポートレイト」が僕の人生で一番聴いてる曲なんですけど。
教授:えぇ~。笑
シャ:なんだろ、受験の前とか、緊張する時に聴く曲っていう設定になってて、ずっと聴いてるっていう。なので、今回、お話をいただけて、すごく嬉しかった、良かったっていう…。
教授:えぇ。笑
シャ:すいません、猛烈に緊張していて…。
教授:いやいや、そうか~。
シャ:そうなんです。それで、僕らがちょっとお聞きしたいなっておもっていたのが、今回ページの写真は、坂本龍一さんの生活っていうイメージで撮ってみたんですけど、コンクリート張りっていう空間で。あんな感じで大丈夫だったのかなっていう。
教授:あぁ…いや、かっこいいなぁと思いましたけど。
シャ:あれスタッフの家なんです。
教授:うん、いいですよね。まあ、あれよりかはもう少し、木のぬくもりがあるような感じが、自分のニューヨークの家もそうですけど、割と、木の床とか、そういうものが好きですね。
シャ:じゃあ別にコンクリート張りっていうわけじゃないんですね
教授:ですね。けどそれも嫌いではないし、いいと思うんですけど。自分が安心して住める環境っていうと、木をうまく利用したものが好きですね。あと、まあニューヨークなので、レンガが好きで。
シャ: そっか、レンガ。
教授:それで100年以上経ってる古い家を改装して住んでるんですけど、どうしてもレンガを残したくて、改装の建築家に頼む時に、ちょっとでもいいからレンガを残してって、残してもらったんですけど。暖炉のところにレンガがあるんですけど、やっぱり木とかレンガとか、そういう手触り感っていうか、テクスチャーとか、あと経年変化するとか、そういう感じも好きですね。
シャ:じゃあもう完全に、素材がリアルなものが。
教授:そうですね、で、木も色が変わってきますよね、だんだん茶色が濃くなっていったりして。そういうのはとても好きですね。
シャ:あー、だったら、スコープは今後も坂本龍一さんのものを作るのに、ちょっといい(声張り気味)かもしれないです!
教授:ですよ。だからこういうものもだんだんと自分のものになってくるじゃないですか。そういう変化も好きですね。
シャ:じゃあ今の生活をされている中で、仕事じゃなくて家に帰ったりして、リラックスしている時ってどういったことをされますか?
教授:まあ、去年大病をしましたので、それ以前も健康にはとても気を使っていたんですけど、ある意味、一番気をつけていることは健康に関することで、休暇もちゃんととるようにして。まあ忙しくなってくるとそれも難しいですけど。まあ体第一ですので、健康でないと、いい仕事もできないですからね。あなたはまだ若いから大丈夫かもしれないけど、50くらいになったら気をつけたほうがいいかもしれないですね。
シャ:苦笑
教授:40代はめいっぱい走って、50になったら少し気をつけたほうがいい。まあ僕もそのつもりで、気をつけてはいたんですけど、なる時はなっちゃうんだなと思うんですけど。幸いなことに復帰できたので、今はなるべくストレスをためないように。
シャ:ストレス…。
教授:ストレスを抜くために、ヨガをやったりとかね。
シャ:あぁ、ヨガですか。
教授:うん。そういうことに以前から関心はあったけども、本当に身に迫る問題としてやったりとか。
シャ:はい。
教授:あとは、そうですね、ストレスを軽減するために、香り、まあお香ですね。
シャ:あぁ、香り。
教授:元々お香が好きで、コンサートでも舞台袖からお香を焚いて、僕自身もリラックスしながら弾いたり、お客さんにもリラックスしてもらおうって、焚いたりはしてたんですけど、前から。
シャ:はい。
教授:で、家でもお香は焚いたりしていて。


シャ:お茶とか、コーヒーっていう飲みものでいうと、教授は今コーヒーの時代なんですよね。
教授:コーヒー元々大好きなんですよ。50歳くらいまではそれこそ寝る直前にもダブルエスプレッソを飲んだりしてたんですけど、やっぱり50歳過ぎると体が変化してきて、カフェインをあまりとれなくなってきたんで、けどまあ日本茶、緑茶は大好きなんで、今でもたくさん飲むんですけど。最近、コーヒーが体に良いっていう説が出回ってきて、あ、いいんだ、じゃあ元々好きだからこれはいいわい、って思って、また自分で挽いたりとか、ドリップコーヒーを淹れたりし始めまして。
シャ:それはペーパードリップですか、ネルドリップですか。
教授:ペーパーです。
シャ:ペーパーで。今日、教授にひとつ手土産を持って来まして。
教授:えぇ~
シャ:コーヒー好きということだったんで、いつも僕と一緒に仕事をしている東屋さんって会社が東京にあるんですけど、その東屋さんが仲良くしている、あー、でも今はもう無くなっちゃったんですけど、大坊珈琲さんって表参道に有名な珈琲屋さんがあって、その大坊珈琲の大坊さんが、自分で調整したドリップポットっていう。(自ら開封し始める)。
教授:へぇ~。
シャ: これ自分で開けちゃってるんですけど、なんか間違ってますかね。
若木:あー、ちょっと、わかんないです。
教授:わかんないですか。
シャ:あーすいません…(パニック)。
若木:写真的には全然大丈夫です。
シャ:あー、すいません、なんかちょっと色々混乱しちゃってるんですけど、こういう。(披露)
教授:ほぉ~。
シャ:先をすごく細く、大坊さんが叩いて、調整した。
教授:へぇ~。
シャ:大坊さんと東屋さんがイベントしたときの、コーヒーのポットと挽き方の説明なので、よければ。
教授:全くの素人で、見よう見まねなので。
シャ:これはプジョーのミルなんですけど、一番最初の。(パンフをみながら)それで挽いて、コーヒーを淹れるっていうイベントだったみたいなんですけど。
教授:はー、なるほど。
シャ:とにかく、細くお湯が出せるように、大坊さんが全部自分で叩いて調整したやつで。あんまり出回ってないので、新品が無いんですよ。で、東屋さんの周りに3個だけあるっていうことだったんで、一番きれいなやつを奪い取ってきたので。
教授:うれし~。
シャ:よろしければ。
教授:普通にやると、ドボドボって出ちゃって、よくないんですよね。
シャ:はい。
教授:だから、あのお湯を注ぐのが難しいんですけどね、なるほど~これならいいな。
シャ:これだと相当細く注げると思います。
教授:これは嬉しい。わー、これ、お土産?
シャ:お土産です。
教授:嬉しいです。
シャ:色々探したんですけど、僕らが扱っているマグも愛用いただいているっていうことだったんで。
教授:そう。日常的に。
シャ:僕、このブランドのものをたくさん扱っているんですよ。
教授:あぁ、そうなんですか。これはフィンランド?
シャ:はい、フィンランドです。
教授:しょっちゅう行かれてるんですか?フィンランド。
シャ:はい、一年に少なければ1回ですけど、多いと4回とか。ものを作りに行ったりとかしてます。
教授:どうですか?フィンランドって、僕行ったこと無いんですけど、美しいところですか?
シャ:そうですね、人も優しいですし、町もそんなに大きくなくて静かなので、一人でふらふら歩いても何にも怖い事ないですし。あと、なんかフィンランド語って発音しやすい。読むまま話せばいいっていうか、ローマ字読みすればそれで通じちゃう、みたいな。
教授:アジア系の言葉なんですよね。
シャ:なんか似てるんですよね。
教授:うん、ヨーロッパには無い言葉ですね。フィンランドとハンガリーが共通のルーツなんですよね、フン族っていう。フィンランドのフィンはフンから来ているし、ハンガリーのハンもフンから来てるんですよ。
シャ:そうなんですか。
教授:だからフン族系なんですって、あそこは。系統からすると。
シャ:だからあの国だけちょっと違うんですね。
教授:だから北欧の中でも、違いますよね。政治的にもちょっと違いますよね。面白い。アジア系だから、とても親近感を持ってはいるんですけど。音楽も面白いですよね。フィンランドの音楽はね。
シャ:あ、そうなんですか。僕はもうフィンランド行くと、ヘビメタばっかだなって思ってますけど。ものすごいロックな人たちが多いので。あんまりフィンランドの音楽と食事には興味がわいたことは無いんですけど…。
教授:フィンランドの人って静かじゃないですか。
シャ:はい。
教授:でもヘビメタが好きなの?
シャ:えぇ。
教授:でも静かですよね。あんまりしゃべらないでしょ、おしゃべりないでしょ。
シャ:地味ですよね。
教授:寡黙ですよね。
シャ:生活も静かだし。
教授:フィンランドの映画もすごく静かですよね、そこも僕は好きなんですけどね。フィンランドのバンド、ユニットで、パンソニックってパナソニックみたいな、もともとパナソニックっていうバンド名だったんですけど、訴えられそうになって慌ててPanとSonicと二つに分けて、パンソニックにしたんですけど、彼らと割と仲が良くて。で、一緒の部屋にいるんだけど、会話するのに30分に一言くらいですもんね。
シャ:それは少ないですね…。
教授:ボソって、会話になってないんですけど。
シャ:えぇ~。
教授:禅の坊さんが3人くらいいるみたいな感じで
シャ:それはかなり不思議な人たちかな~。僕の周りのフィンランド人はそこまでじゃないですけどね。
教授:あ、そこまでじゃない?あいつら特別なのかな…いや、みんな静かで良いな~って思ったんですけどね。
シャ:フィンランド人は、ものすごいお酒飲むなっていうイメージはあるんですけどね。
教授:あのね、寒いところの人は飲みますね。僕、アイスランドが好きで結構行ってるんですけど、ものすごい飲むんですよね。尋常じゃないくらい…。
シャ:ねぇ、ビールやワインじゃ酔っ払わないからって、途中でウォッカ入れて…。
教授:そうそう、金曜の夜から、土曜の朝まで大騒ぎで、土曜の朝になると、そこらじゅうにビール瓶の破片が街に飛び散ってるっていう。
シャ:あ、ちなみに教授がご自宅で使っていただいているSheepSkinはアイスランドの羊です。長毛種で毛が長いアイスランディックシープの毛なんです。
教授:アイスランドもいかれました?
シャ:いや、まだ行ったことなくて、今一番行きたいところなんですけど。
教授:近いですからね。
シャ:車でちょっと走ってみたくて。
教授:いいですよ~。アイスランドは結構大きな島なのに、人口は30万ちょっとしかいないんで、本当に自然が豊かで、って豊かっていってもアイスランドっていうくらいなんで、そんなに木も多くないけど、でも、美しいですよ。
シャ:フィンランドも田舎の方に行くと、風景はすごいきれいですね。ずっと車でまっすぐ走ったりして。
教授:そうでしょうね~。
シャ:すいません、なんか色々。


教授:あぁ、僕の話しなきゃいけないか。
シャ:あーいえいえ、皆さんに入っていただいて、できれば次の、タオルに続く第2弾の開発会議ができたらどうだろうかって思っているんですけれど、いかがでしょうか。
教授:ぜひぜひぜひ。
シャ:スコープのモノづくりとしては、今の日本の、買って捨てて…の繰り返しから完全に脱しようと、いうところを目指してまして。なので、一番いいのは、僕たちが作って、売ったものがみんなの手元にあって、それが子供にも行って孫にも行くっていうレベルのものを売りたいし作りたいって強く思っていて。なので、フィンランドでこういったものを扱う時も、扱う前に、1930年くらいの昔のものから一回ザーッと集めてみて、それを僕らの生活に落としこんでみて、使ってみて、ということを繰り返していってるんですけど。
教授:素晴らしいと思います。まあコモンズも僕らもそうで、長持ちする音楽、世代を越えて受け継がれていくような音楽を作りたいということは、いつも思っていますけど
シャ:いや、でももうそれ完全にできてると思うんですけど。
一同:笑
シャ:ちょっと言葉にならなくなっちゃいましたけど。
教授:あのーまぁちょっと余談ですけど、僕が割とよく使うニューヨークのスタジオで、アバターっていうスタジオがあるんですけど、そこで80年代に「NEO GEO」を作ってた時はほとんど住んでた感じで、3ヶ月4ヶ月そこにいたんですけど、今でもほとんど変わって無くて、内装とかもやっぱり木がたくさん使われているんですけど。面白いのは、そこで使っている古い真空管のEQとか、コンプレッサーとかプロ用のものは、60年代のものを使っていて素晴らしいもので。当時作ったエンジニアを探してきて、今はもう80歳くらいのおじいちゃんなんだけど、その人にメンテナンスさせてるんだよね。
シャ:へぇ~。
教授:そうやって大事に大事に使ってる。そういう発想が素晴らしいなって思ってるんだけど。
シャ:すごくいいですよね。今回も、教授の愛用のお皿が、スコープに届いたら、割れていた、という…。
教授:ん??
シャ:ものを作るサンプルとしてお借りしたら、僕が割ったんじゃないですよ、宅配便で届いたら割れていたっていう。
教授:あららら…。
シャ:で、金継ぎしたんですよね。本漆で半年かけてきっちりやったので、かなりきれいになって。
教授:金継ぎ良いですね~。
シャ:あれは結構、東屋の社長さんも自ら何度か足を運んで、ここはもっと細くとか、ここは太くっていうディレクションを完璧にしたから。
教授:すごい!
シャ:一応、教授のやつだから!っていうことで、みんな気合を入れて金継ぎさせていただきました。でもその時色々と勉強になったこともあって。金継ぎって僕らの中では1カ月くらいあればできるもんだって思ってたんですけど、半年かかったんですよ。結局ちゃんと聞いたら、今の金継ぎって言うのはざっくり接着剤でつけちゃってるらしいんですよね。本漆で継ごうと思ったら、半年は絶対にかかるっていうのがわかったんで、ひとついい勉強になったなって思って。
教授:そうなんだ。
シャ:でもそうやって考えて、思いついたアイデアなんですけど、例えばああいう借りたような白磁のお皿を手挽きで写して、コンサートで売るっていう発想をすると、あのお皿は作る段階でいくつかは焼く時にわれたりすると思うんですよ。それを全部直しちゃえばいいんじゃないかって思ったんですよね。
教授:そうですね、その通りだ。
シャ:それで歩留まりを一番いい状態にして、直したのは当たり、みたいな。
教授:ですよね、金が入ってね。
シャ:そういう風にするのもアリなのかなって。
教授:いいですね。
シャ:そうすると、コモンズさんがやられてることもスコープがやってることも近いので、そのものでまたプレゼンテーションできるのかなっていうふうに思うんですけどね。
教授:うんうん。
シャ:他にも何かお題をいただければ、作りたい物とか。東屋の社長さんも、坂本さんが必要としているものだったら何でも作るから言ってくれ、って。ひとつとか、ふたつとか、まずは教授が使う分を作って。
教授:それはどういう方なんですか??何屋さん?
シャ:日本の道具を主にプロデュースしているんですね、米櫃もあれば、急須も作ってらっしゃるし、あと最近だと、家具もやってますね、紐丁番をつかった衣桁だとか。日本の道具を作っているんですけど、彼がすごく面白いなって思うのは、今だと、「この職人さんがいなくなったらもう作れないです、だから今のうちに買っといてください」っていうマーケティングになっちゃうんですけど、彼はそれをどうやったら続けられるかを考えていて。生産地に投資もしないといけないし、どうやったらその職人さんが食べていけるのかとか、次ができるのかっていうこととかを、僕たちと一緒にやろうとしていて。
教授:すごいね。総合的なプロデュースっていうことですよね。偉いな、それは。
シャ:ただまあ、リアル趣味がすごすぎて、素材にこだわりが強すぎて、前もお弁当箱が欲しいっていう話をしたら、金属だったら銀。純銀で、内側を金メッキにしたお弁当箱が、一番味に影響がないって言ってて。
教授:すごい、いくらになるんだろう、それ。
シャ:そういうちょっとぶっ飛んじゃってる部分もあるんですけど。
教授:かっこいいですね、それ。
シャ:前も、綿棒入れ作ったからって僕のところにひとつ届いたんですけど、純銀で中は金メッキ。一個十何万って言われて。
教授:すごいね。
シャ:常にエディション3で作られてくるんですけど、ひとつは東屋、ひとつは東屋の社長、もうひとつは僕。もしそういうものがお好きであれば、ひとつは坂本さんに。けど、本当に塗装しないとか、箸も磨きだけで仕上げて途装は一切しない、化学が口に入るのが嫌だって。
教授:いやですよね。
シャ:徹底している人なので。
教授:僕もいやですね~。
シャ:漆も絶対に本漆、とか木も無塗装、仕上げはサンダーを使わず必ず鉋で仕上げるとか。
教授:素晴らしい。
シャ:職人から鍛え上げていくっていう。
教授:なるほど。
シャ:と、そういうところなので、もしそういった道具で、ご入用なものがあれば何でもおっしゃっていただいて。
マネ:割と切実に必要な感じなのは、ペン置き。譜面を書くのにどうしても使うので。
シャ:ペン置き。
教授:ペン置きだとか、お香立て、まああとメガネ置き。
シャ:メガネを置くお皿ですか??
マネ:メガネをはずして、どうしても置きっぱなしになっちゃうので、いつも定位置でメガネを置く場所があるといいなって。どうしてもこういう仕事をしていると、電子機器に囲まれちゃうじゃないですか。コンピューターをメインにして。なので、気分的なことなんだけど、電磁波なんかを緩和してくれるような自然素材のものが置きたいんですよね。で、炭を置いたり、アロマを焚いたり、お香を焚いたりとか。
教授:炭も置くよね。あちこちに置いてあるんですよ。電磁波よけ、みたいな。
シャ:そうですよね、電磁波怖いから、僕も寝る時は携帯絶対に電源OFFみたいな。してませんか??
その他:え~、してない…全然。
教授:僕も必ずエアプレインモードにしてる。
シャ:あー、そうですよね。
教授:寝る時も頭の辺りにあると、脳が影響しちゃうからさ。
その他:超影響受けちゃってますよ。
教授:だーめですよ~。
シャ:じゃあやっぱり主に木の素材ですかね。
教授:木ですね~、木がいいですね。
シャ:優しいですもんね、その方がね。
マネ:ペン立ても、譜面を書きなんかに使う鉛筆を置くようなものは、平たいものだったとして、立てておきたい指揮棒とかピアノのそばに置くようなペン立ては、縦型のものがいいんじゃない?
教授:そうだね、指揮棒とか物差しとかは譜面書く時に使うんですけど、ちょっと長めのものは筒状の陶器のものとか、陶磁器のものの方が良かったりとかしますね。花瓶とかは太すぎちゃって横に倒れすぎちゃう。ガラスのコップだとちょっと細すぎたり、背が低くて倒れちゃったり、丁度いいのがなかなか無いんですよね。
シャ:なるほど。
教授:指揮棒、まあこんなもんですかね(手で30~40cm)
シャ:でもそういったものを作れば、普通の人は定規を入れたりとかそういったことで活用できるわけですもんね。
教授:そういう文房具ですよね。
シャ:それはなんか、出来そうな感じがしますね。
加藤:確かに広すぎると、中のものが広がっちゃうみたいなことはありますよね。結局そんなに詰め込んだりもしないわけですもんね。
教授:使う時にぱっと抜きたいし、詰め込んであるとさ、倒れないようにって思って抜きづらくなっちゃたりしてね。
シャ:かといって、あんまり大きいと邪魔だし。なるほど、やってみるの面白そうですね。
教授:そうですね。
シャ:僕も考えてみます、一生懸命。
マネ:でもほんとに自分が欲しいのは、お香関係。坂本はとにかくしょっちゅうしょっちゅうお香を焚いていて、まあアロマもそうなんですけど、使うのも運ぶのも実は結構難しい。
教授:あのね、例えば長いお香だと、灰が広がって散っちゃうんですよね。で、しょっちゅう拭くんだけど、めんどくさい。それから使うお香にもよるんですけど、穴が大きすぎると横に倒れちゃうから、丁度いいものが欲しいでしょ。そしてちゃんとピシッと立っていて、で、まあ当然灰は落ちてくるんですけど、ちゃんと受けて、ワンショットでポンっとゴミ箱に捨てられるような広さが。
シャ:どこのお香っていうのはあるんですか?
教授:大体松栄堂っていう、京都のお香を使ってます。長いのもありますけど、大体こんなもんですね。
マネ:旅が多いので、松栄堂さんで売ってる旅に使えるお香を入れておく木の筒とかも買ってるんですけど、不思議なことにその松栄堂さんの一番気に入っているこれくらいの長さのがその筒に入らない。
一同:笑
マネ:折るしかない。
一同:苦笑
マネ:長いのを買って折るのか、ものすごく短いのを買うか。でもそれだと半分くらいなんですよね、その筒の。で、丁度好きな長さのはそれにおさまらないっていう。だからいい木の筒でそこにそのお香立ても一緒に入れられて、携帯に便利みたいなのがあったりするといいなと思います。行く先々でお香を焚きたいタイプなので。
教授:泊ってるホテルとかでもよく焚いちゃうんですけど、いい迷惑だよね、次のお客さんもいるのに。
シャ:そんなことはないんじゃないですか?
マネ:ちょっと抹香臭い感じがするから。
教授:外国人とか、わかんないよね。
マネ:よくホテルであるのが、灰皿にお香立てを置いてそこで焚いて、帰ってくるとそれが片付けられちゃってるっていう。
シャ:ああー。
教授:もう大騒ぎ。無いんですけど!ってすぐにハウスキーピングに電話して。
シャ:灰があるから。
マネ:灰と一緒に片付けてあるっていう。真鍮のかわいいのとかあったりするんですけど、あぁ無い!みたいな。
シャ:それは大変なことになりますね。探すのも大変だし。
マネ:だからやっぱりどこかの備品を使わずに、旅行で持ち運びがしやすい、お香の収納もできて全部がセットになっている。で、ぱっと広げたらお香が焚ける、、、
シャ:でもそういったものは、ファンの人はみんなそれをシェアして、同じようにやってみたいって思いますよね。
教授:たぶんちっちゃい引き出しみたいのがあって、それこそ日本の小さいタンスじゃないけど、そういうもののミニチュアで、まあ茶道具みたいな感じで、引っ張り出せばゴミ箱の代わりになるというか、灰が落ちてもそこに溜まって、引き出しの中をポンと捨てて、で、そこに収納してしまえば、そのまま旅行に持っていけるみたいになってると、とても便利だよね。
シャ:はー、なるほど。
マネ:やっぱり細長い、長方形みたいのがいいのかな、きっと。
教授:でもある程度は、灰が落ちるから広さは必要でしょう。
マネ:引き出しを出して上のところにお香をさして、灰は下に落ちる
教授:まあこう傾斜してたらね。細長く灰は落ちるよね。まあそれはそうですね。
シャ:ははは。
教授:傾斜させますか。
マネ:まっすぐ立ってるとお線香になっちゃうから、ちょっと斜めがいい。
シャ:イメージ的に。
加藤:佇まいの問題ですね。
シャ:でもそういうのもちゃんと良い素材できちって作れば、きれいだしずっと使えるし。昔フィンランドで買った木のボックスにガラスのボトルが2つとショットグラスが8個入ったセットがあるんですけど。
マネ:あーすごい素敵。
加藤:かっこいいんですよね。
シャ:そこにみんなウォッカとか入れて、持って行くんだろうなと思うんですけど。で、革のベルトが付いてて、全部木組みの箱できちっと作られてるんですけど。
教授:ピクニック用なのかしら
シャ:そうだと思うんですけど。
教授:ピクニック用品もいいよね。
加藤:理にかなってますよね。
教授:編んであるバスケットとかも、革とか金具がついてたりしてそういう組み合わせもいいですよね。
シャ:あと、ポルトガルの毛布とかも。僕が向こうで一回、本当に羊飼いの人たちがいる世界っていうのがあるんですよ。ほんとに羊としゃべっているような人たちがいて、夏になると山の上に羊を連れて移動して何カ月もそこに生活して、帰ってきて。で、本当に毛を刈ってその茶色の羊と白い羊とで柄を編むんですけど。で、湧水で洗って。そこのやつも、水をグッと吸わせるとものすごく縮んで、撥水性がでて。もともとはマントを作ってたんですけど、そういうのでピクニックシート作ったらめっちゃおしゃれなんじゃないかと思ってたんですけど。ピクニックはされないですよね。
教授:しないですね。
マネ:ピクニックシートですけど、日本に来て特に桜の季節だったりすると、あのブルーのビニールシートが絶対に許せなくって。
教授:あー許せない。そうだね。もうカンカンだね。
シャ:カンカン。
教授:だって、せっかくお花見っていう素晴らしい伝統があるのに、それを楽しんでいるのに、使っているものがあんなに醜い。あれだけはやめてほしいなぁ。御座にしてほしい。
シャ:まあそうですよね。
マネ:ちょっと湿っちゃうから、オイルステンになってるとか。
教授:良いね。
シャ:そういう自然素材に持っていければ。
教授:素晴らしいです。
シャ:僕もそういう風に素材をきちって作っていくと、やはりものって廃れないし、後からそれを欲しいといってくれる人もいるし。けどそこに化学のものが入ると、そこだけきれいなままだったりして気持ち悪くなってくるんですよね。
教授:そうですね。


シャ:そこがキーかなって思って、残るものを作るっていうのを心掛けているんですけど。一気に方向転換をしようとしていて、教授に聞いてみたいことがあって。
教授:ん?
シャ:僕も、ものを作っていくのに、それがどうやったらみんなの中で廃れないのか、とか価値を失わないのか、っていうことをずーっと考え続けていて。いろんなデザイナーがどこを重視してこのものを作ったんだろう、とかいうことを実は考え続けているんですけど。坂本龍一さんの音楽って僕の中でも完全に、懐かしさすら感じない部分があって。
教授:そうなんですか。
シャ:ええ、久しぶりに聴いても、全く懐かしさっていうものがなくて。どうやったらあんな音楽が作れるのかっていうか、どういうところを重視してというか、大事にして音楽を作ると廃れないのかとか。
教授:なんも考えてない。
シャ:あーでもそれひょっとして、僕ずっと考え続けた先に思ったのが、あんまり考えずに素でやるっていう。
教授:うんうん。
シャ:その素をいかに高めるかっていうことなのかなって最近ちょっと思ってたんですけど。
教授:まあ音楽を作っている時は何も考えてないんですね。えぇ、こうしてやろうとかも。まあもちろん細かいテクニカルな作業として、ああしたりこうしたりっていう考えはあるんですけど、全体としては何も無いっていうか。それこそ「音楽図鑑」なんかは過剰なくらいに意味付けとか、冊子も出したりとか言葉をたくさんつけて意味付けしてますけど、あんなのは全部後付けで。作っている時はむしろ何も考えずに作ろうっていうのがテーマだったりしたので。
シャ:ふーむ。
教授:タイトルだって全部後からつけるもんだし。
シャ:あぁ、そうなんですねー。
教授:まあ音楽だからそうなんですよね。こう使うものっていうのはそういうわけもいかないでしょうけど。でも何でしょう、残るものって、飾り気がないっていうかギミックがないっていうか本質的なものっていうか。そういうものが永く残るような気がしますけどね。
シャ:やりすぎてないものっていうことですよね。
教授:うんうん。
シャ:このマグをデザインしたオイバ・トイッカっていう84歳のおじいちゃんがいるんですけどその人に、この作品のコンセプトは何ですかって聞いたら、コンセプトなんてない、って言われて。お前はそんなこと考えてものを作ってるのか、ただ青が使いたかった、それじゃあダメなのかって言われて。あぁそういうことなのかって。
教授:僕の好きな、友達でもあるんですけど、大竹伸朗っていう画家がいて、四国の宇和島に住んでるんですけど。現代美術の作家ってことになってるんですけど。今の現代美術って、コンセプトとか哲学がないと成立しない世界らしいんだけど、大竹伸朗はそんなもんはねぇって、描きたいから描いてるだけだって。とにかく素晴らしいアーティストなんですけど、大竹伸朗以外、ほとんどそれじゃあ通用しないんですよね、今は。
シャ:うーん。
教授:こういう「もの」もそうかもしれないけど、情報過多の社会だから、常に何かの説明を必要としてるっていうか、説明する方もそれで満足するところがあるし、買う方も説明聞かないとわかんないみたいな。音楽ですらそういうところあるでしょ。音楽なんて一番直感的なもんだから、説明なんて本当はいらないはずなのに。聴いてただ好きか嫌いかって、それだけでいいわけなんだけど。
シャ:はい。
教授:難しい世の中ですよね。
シャ:そうですよね。でもそれでいいものを作るってすごい難しい。何も考えずにぱっと作るものが認められるものにならなきゃいけないって、その素を相当高めていかないといけないわけですもんね。
教授:でもね、自分でもたくさん曲があるじゃないですか、1000曲以上あるのかな?良いものも悪いものも当然あるんですけど、やっぱり考えて作ったのはダメですね。
シャ:あぁ。
教授:明らかに。自分でよくわかります。頭でひねくり返して色々、それからまあ、もっと悪いことはマーケティングとかさ、そんなこと考えて作ったこともありますけど、そもそも全然マーケティングにもなってないし。たとえば小室さんみたいな、そういう才能が僕には全く無いので、マーケティングをしてその通りに作ってちゃんと結果も出す、みたいな、小室さんはそういうすごい才能があるから。僕は全く無いんです。ちょっと真似してそういうようなこともやったこともあるんですけど、全然結果も付いてこなくて、向いてないし。音楽的にも、そうやって頭で考えたものは全然駄目だなって思います。だから残っているものは、とにかく自分でどうやって作ったのかも覚えてないみたいな曲はやっぱりいい。
シャ:えぇ。
教授:ほとんど無意識みたいな。
シャ:じゃあ昔の曲とかも、こう聴き直して、ここは今だったらこうするのにな、みたいなことってありますか。
教授:それはもうできちゃってるものだから、あんまりそれをいじろうとかそういうのは無いんだけど。
シャ:全くない。やっぱり素ですね。僕も色々やってくと、難しくなってきてこうすればもっと売れるとか思っちゃうともう絶対ダメだなって。
教授:やっぱりそうでしょ?
シャ:そういう風になっていきますね。
教授:そうですよね。
シャ:素でやるっていうことは、その素を高めないといけないっていう、そういうことですね。
教授:マーケティングってこう、代理店さんたち、彼らのためにあるコンセプトで、僕ら作り手にとってはあんまり関係ないんじゃないかな。
シャ:僕も常にそう思って、あんまり無茶なことやりすぎて、社員のみんな心配してるんですけど。
教授:ちょっと水ありますか。
シャ:あー、もう時間がヤバいですね。
教授:あぁ大丈夫ですよ。
シャ:僕、いつか、でいいんですけど坂本龍一さんのこんなCDがあったら買いたいっていうのを考えてみたんですよ。
教授:なるほど。教えてくださいよ。
シャ:ははは(焦)それは多分、もう無茶苦茶な話なんですけど、例えば僕の家にピアノがあって坂本龍一さんが来てばばっと弾いて帰って行ったっていう体のすごい生っぽいのがあったらいい、すごい。
教授:そういうことはよく考えますよ。
シャ:そういうのはやらないですか。
教授:やってもいいなって思いますよ。あの、誰かのお家へ行って一人のために弾くっていうのはあってもいいなって思うし。
シャ:あぁっ、そうですか。
教授:例えば日本のお茶のこと考えると、主人がいて、お客はせいぜい4、5人で、狭い空間で、まあお茶飲んで、おいしいって言って帰るみたいな、そういうようなあり方でもいいなとは思ったりしてるんですよ、そういうのもやりたいなって思ったり。
シャ:あぁそれ絶対に、ぜひ、あー、やっていただけたら、なんて、あの。
教授:あ、じゃあぜひ最初のお客で呼びましょうか。
シャ:えっ…やったー!
教授:ははは、茶室みたいなのを作って、ピアノがあって、4・5人を呼んでおいしいお茶でもコーヒーでも飲みながら、まあ今日の気分を聞いていただいて、午後のゆったりした時間を過ごすっていう。
シャ:そういうのすごい、ものすごい、そう、スコープの中で写真を撮る時も、テーブルをセッティングしてイメージフォトってやっちゃうともう今は伝わらないので、成戸とかもそうなんですけど、一週間合宿で別荘借りて、スタッフとみんなで住んじゃうんです。その中で出てくる料理とかを全部撮っていくんですけど。
マネ:あー、そうなんですね。
シャ:で、しょっちゅうそれをやっているので、そろそろ若木さんに写真を撮ってもらおうかなって、さっき無茶なお願いをしてたんですけど、なんかそういう風にして、生にしていくことによって、やっぱお客さんは感動するっていうか共感してくれるっていうのがわかって。
教授: うんうん
シャ:やっぱりリアルじゃないところじゃないと見えてこない。そこで今も大阪のgrafさんと。
教授:あー、服部君ね。
シャ:えぇ、いま一緒に家具を作ろうって言って。
教授:へぇ、いいですね。
シャ:で、家具を作るに当たって、僕先ずマンションを買ったんです。grafのリノベーションしたマンションを。で、そのデザインした子に、予算振り切ってもいいから、もう一回好きにリノベーションしようって言って、マックスできた箱に対して、必要な家具を一個ずつ作っていくっていう。
教授:はい。
シャ:でもその前に、ヴィンテージの名品はいくつか置いておいて、それに見劣りしないものを作ろうとかって、ちょっとハチャメチャなことをやってるんですけど。
マネ:ハチャメチャですね。
教授:あのね、お茶のつながりでいくと、そのお茶室の数寄屋造りの京都の職人さんに話を伺ったんだけど、図面がないんですってね、昔から今も。何でも一対一の本物を作っちゃって、それでここをこうしようこうしようってやって、工務店でね。それであー出来たっていうものを、それと同じように作るんだって。だから同じだよね、発想が。本物っていうことですよね。
シャ:その時は、彼らgrafもいくらで売れるようにって予算内で作ってたから、でも予算がなかったらどうするかっていうところで、一緒に話し合って、じゃあもうやっちゃおうって今やってます。で、これからマンションが今月末にできるので、今度は家具を作っていくっていう非常に気の遠くなるような作業なんです。
教授:えぇ。
シャ:でもそうすると、その家具もずっと使い続けられるものになってくるんじゃないかな。
教授:まあそうですよね、絶対そうですね。
シャ:そう、そんなリアルな視点でものを作っていこうっていうのを徹底してるので、そこに音楽もリアルに寄ってきてくれるとものすごく良い。
教授:良いですね。
シャ: なんていうことをハチャメチャにお願いしちゃって大丈夫かなって、ちょっと…(少し冷静になる)。
教授:良いですね。 だからじゃあそういう空間を作りましょうよ、なんて。
シャ:空間をまず東京に作る。
教授:東京でもどこでもいいんだけど
シャ:お茶室みたいな。
教授:まあお茶室にこだわることはないけど、まあピアノはおけた方がいい。
シャ:まあそうですよね。ピアノの置ける。
教授:ピアノを置いて、5人といわず、10人くらいでもいいんだけど、呼んで、お茶でも飲みながらゆったりピアノを聴くと。そういう空間?
シャ:はい。
教授:そこにあるべき机とかは、どういうものかっていうね。
シャ:あーもう完全に貴族ワールドですね。でも面白いですよね。そういう振り切ったものっていうのは面白いですもんね。
マネ:今音楽が売れない、音楽という商品がなかなか売れない時代になっていて、でも音楽聴く人はいっぱいいるんですよね。今回スコープさんと何か一緒にできないかと思った時に、その、スコープさんが扱っている商品とか、webサイトの写真なんかを見ていると、ああいう場所でどういう音楽を聴いてるんだろう?って考えた。そういうところに何か突破口があるんじゃないかなって思うんです。生活の中で聴かれる音楽っていう。そういうものがどういう風に届けば聴いてもらえるのかなっていうことをずっと考えていて。
シャ:あぁー。
教授:やっぱりそうですよね、場所と音楽って密接なんですね。で、よく違和感を感じることがあるんですけど、例えば中華を食べに行って、ボサノバがかかってるんですよね。
シャ:ははは。
教授:すごく違和感を感じるんだけど、だけど待てよと。だったらその中国風のあの二胡の様な音楽がかかってれば合うのかって、それも違うよなーって。けど明らかにボサノバじゃないよなって。ここには合わない、ズルズルっていう…何だろうってよく思ったりするんですけど。
シャ:うーん。
教授:場所と音楽って密接、関係が深いなって。
シャ:そうですね。特にお家で聴く音楽って、みんなたぶん流行りっていう部分で取り込んでいる部分があって、その生活に向いて何か作られたものって、実はあんまりないですよね。
教授:そうだね。
シャ:生活、そのお昼ご飯とか晩御飯、家族の誕生日みたいな時に、ご飯食べてる時に流れる音楽とか
教授:まあ僕の好きな昔のフランスの作曲家のエリック・サティって言う人が、家具の音楽っていう発想を考えたんです。
シャ:はぁ。
教授:壁紙の様な音楽、邪魔にならない、居心地がよくって、だけど良いものっていうかな、そういう音楽って発想。まあだから環境音楽みたいなものをはじめて考えた人なんだけど。
シャ:はい。
教授:参考になりますよ。
シャ:そうですね。でもなんか、ちょっと可能性が出てきちゃってるっていうことですかね。
マネ:めちゃめちゃ出てきちゃってる。
シャ:あは、あははははは…。
マネ:私たちもすごく、なんか別なやり方でできるんじゃないかって思える気持ちになりました。今回初めて。
シャ:いやいや、それはだけど、うちのお客さんみんな欲しいって思うものだと思う。マグカップより売れるんじゃないのかなって。どれくらいCDって売れたらいいものなんですか?っていうのが全然わかってないんですけど。
マネ:問題は、これまでのCDの歴史、30年くらいの中で、CDは1枚だいたい3000円くらいのもの、っていうのが業界内コンセンサスで決まってること。
教授:あんま意味ないよね。
マネ:そう、実はあんまり意味というか理由がなくて、その3000円の中に入ってる音楽をどれだけお金をかけて作っても、あんまりかけてなくても大体3000円なんです。それどうなのっていう。
教授:定価制度だったからね。
マネ:そう、もともと定価制度だったから。
教授:だから一億円かけてつくっても3000円、100万でも3000円。そんな商品他にあんまりないでしょ。
シャ:まあそうですよね。純銀とプラスチックがおんなじ値段。
教授:そうそう。
マネ:全くおかしい。大工さんが一生懸命鉋かけたのと、機械でじゃーってやっちゃったのがおんなじ値段っていう世界で、それが多分今、音楽業界がちょっと壊れている根本原因じゃないかなって私は思ってます。加藤さんはものすごく優秀な音楽の業界のプロダクト管理やっているので、当然コスト意識を持ってプロの仕事をしてて、「コスト度外視」みたいなことを「どうかな?」って思ってしまうと思うんですが、それはまず考えずに、どういう風に音楽を作って聴いてもらえばいいのかっていうところから始められたら..。もしかしたら一万円でもいいのかもしれない。洋服なんかもそうですよね。すごくいいカシミアで十万円だったら、それでも買いたいっていう人もいれば、十万じゃ買えないから一万のでいいっていう人もいるかもしれない。そういうふうにやったほうがきっといいんじゃないだろうかと思いますね。
シャ:っていうこともできるっていうことですね。
マネ:全然、できます。
シャ:今そういう決まりはなくなって。
マネ:今私たちavexさんにお世話になっているんですけど、そこではまだどうしてもCDはだいたい3000円くらいという考えが残ってるのでかなり難しいんですが、じゃあ今回みたいにスコープさんと何か別のことやってみようか、っていうことになれば、音楽業界のルールにとらわれずに考えられるから。
教授:自由だね。
シャ:それは素晴らしいですね。ものすごい。
教授:っていうか、だからまあCDっていう形は結果であって、お茶室みたいに5人来ます、で生で弾きます、午後の2~3時間のいい時間を過ごしますっていう、そういう商品があってもいいわけじゃないですか。まあじゃあ5万円いただきますでもいいんだけど。そのお土産っていうか、その思い出にその日のCDをお付けしますよっていうパッケージのCDで、そういうものでもいいわけですよ。
シャ:それはもう、参加する人すごいですね。もうそこで生で体験しちゃうっていうことですか。
教授:そう、生で体験して、で、帰る時には今日聞いたその生のやつをCDとしてお渡しするっていう。
シャ:それすごいですけど、あれですね、大変ですね。
教授:いやいや。
湯田:今は結構、ライブの後にその日の演奏をCDで渡すっていうのができる時代で。
シャ:えぇ、そうなんですか?
教授:えぇ、いけます。
シャ:へぇ~。
マネ:そういうこともできます。あと坂本がもう一つ、オブジェの様なものから音が聞こえたら、みたいなことをしょっちゅう言っていて。
教授:あぁそうだね。
マネ:インテリアのオブジェクトがあって、そのオブジェクトから聞こえる音楽を作るとか、音楽だけで単体で成立させようっていうことではなく、さっきの家具みたいなこととちょっと近い発想かなって思うんですけど、アロマのように漂う音楽とか、まあいろんなことを言うんです。なんかそういうものでもいいのかなって。
シャ:すごい今ちょっと難しすぎて、ちょっと、はははは…音が出るスピーカーがっていうことですよね。
教授:まあスピーカーじゃないといけないんですけど、でもただみた目はスピーカーではなくて、かわいい置物であったり、なんかこう変わった形のものがあって、そこからアロマのように音が出てる、でまあ気分によって変えたかったら、アロマを日によって変えるみたいに音も変えられるっていうふうにしとけば飽きないかな。
シャ:あぁ、もうオブジェの中に音楽が。
マネ:音源が入ってるっていうことです。その音源自体は、例えば通信できるようになってれば、新しい音に入れ換えることもできる。そういうのは技術的にいくらでもできると思うんですけど…。音楽が分離してるんじゃなくて、インテリアの一部になっている。
教授:って言う話を、京都ベースの名和晃平くんっていう現代美術のアーティストに話したら、面白いって。そういうものをぜひ作りたいなとかいってましたけどね。
シャ:それたぶん、誰も考えてないことですもんね。はは、だれも考えてない…。
教授:そういうビルがあったらといいなって思ってたんですけど。あの、近寄ると匂いの様に音がしている。しょっちゅうワーッてなってたら、そりゃうるさいから嫌になっちゃうけど。たとえばレンガが好きって話したけど、レンガって手触りもいいけど、匂いも近寄るとするでしょ。建築も匂いがあるじゃないですか。アロマがあるじゃないですか。匂いの様な音楽っていうのはいいなってずっと永いこと思っていて。さっきの壁紙、家具の音楽に近いかもしれないけど、そんなことも考えてる。まあそれはちょっと実現するかどうかわかんないけど。
マネ:ビルはね〜。とはいえ振動性のスピーカーっていうのが技術開発が結構されていて、こういうところに貼り付けるだけで、それがスピーカーになるっていうのもあるんですよ。(机の裏側をさわりながら)
シャ:あの、猿山っていう骨董屋さんがあるんですけど、そこが確かそういうのを付けて壁をスピーカーにしてる。ちょっと斬新な感じでした。
教授:スピーカーの形がみえなくて、ここに貼り付けとけば、なんとなく全体が鳴ってる。
マネ:音響機器って無骨なものが多いんでイヤで…。これ置きたくないんですけどっていう機材が、音を聴くために仕方なく置く…っていうことがあるので、そういうこともアプローチのひとつとして考えられたりするのかなって思います。
シャ:いや…なんか、考えてみます。それができるかどうかはわからないですけど。でも、CDとかそういうのができたらまずは面白いと思って、そんなことができれば。なんか多分うちのお客さん、みんなそういうのを求めていて、なんとなく大人になっていくと忙しくて、そういうのを聴く時間もなくて、英語を勉強しないとってずっとヒアリングとかして過ごしていると、たぶんYouTubeで昔聴いてた曲とかを聴いたりして、あー懐かしい、みたいなところで終わっちゃうと思うんですよね。家でこうほんとに生活する時に聞く音楽っていうのは、生活に向いた音楽っていうのは、たぶん画期的に人の生活を変えるような気がするので、そんなことができたら是非。
教授:是非。笑


シャ:時間が、もうそろそろ、あれですね。
サインタイム
シャ:お客様へのプレゼント用に、サインをお願いします。
マネ:シャチョウが、コモンズの、ジョナサンのロゴが大好きって。
シャ:あれはすごいかっこいいですよね。
教授:いいですよね。
マネ:好きすぎちゃって、袋にして全面に。タオルがそれに封入されてるっていう。
教授:合いますね。
シャ:このマグにもロゴをみっちり入れたらどうかっていう。
一同:笑
シャ:なんでもロゴをみっちり入れる…。
教授:(黙々とサイン。)はい。
シャ:あっ、僕のメモリアルフォトを、一枚いいでしょうか。ちょっと大きく引き伸ばして、記念に飾ろうと思って。
教授:はい。
シャ:あっ、ありがとうございます。あ、最後に一枚だけ若木さんと3人でも写真いいですか。僕、お金をいっぱい貯めたら、若木さんに映画を撮ってもらって、教授に音楽を付けてもらったら最高だなっていう、壮大なプランを勝手にイメージしていて。
教授:ほぉ~。
シャ:撮影はフィンランドで。
教授:あ、すごい。
マネ:撮影はフィンランド!?
教授:フィンランド行きたいです、私も。
シャ:ありがとうございます!あー人生で最も緊張した一日だった。
教授:ははは
加藤:平井さんの緊張がつたわっちゃって、私まで緊張しちゃいました。
教授:あんなところに沼がある。面白いね、タモリさんに解説してもらわないと、ブラタモリで。いいねぇ~
シャ:本当に長い時間ありがとうございました。がんばります。
教授:はは。再度握手。
シャ:ありがとうございました。
教授:よろしくお願いします。