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Kaarina Aho | カーリナ・アホ
Egg Hen [ Munakana ] | エッグヘン

Kaarina Aho | カーリナ・アホ
Egg Hen [ Munakana ] | エッグヘン

Brand : Arabia | アラビア
Production Period : 1954-1960

何年も前になるのですが、美術館からの依頼でフィンランドデザインの企画展用に、かなりのビンテージを集めた事があります。その中のリストに、このカーリナ アホのムナカナも含まれていました。フィンランドデザインの黄金期に存在した、その時代を代表する少し独特なる日用品ですから、選ばれるのも当然と探してみると、その時とても運が良かったのか、すんなり見つける事ができました、それも2つ。そして手元に届くと、ちょっと手放したくなくなるような、特別な雰囲気がある。そのデザイナーに詳しくなくても、そのジャンルに少し興味があれば誰でも見たことのある物、記憶に残っている物というのは、やはり特別に人を惹き付ける魅力があるのでしょう。結局、このムナカナについては手元に残したくなってしまったので、所持品を貸し出すという事に変更し、長らく手元にありました。そこから何年も何度もフィンランドへ行き、あらゆるマーケットを見ているのですが、僕の視界には飛び込んでこない。全く出会いがない。流石に1950年代後半の物ですし、見るからに大量生産できる物でもなさそうだから、数も少なかったのでしょう。キッチンに置いてあれば絵になる。卵を入れておく道具として作られてはいるけれど、1960年頃から冷蔵庫が普及し始めるから、実利用される事も少なかったのか、なんだか状態が良い。一度手にしてしまうと手放したくなくなる、妙な愛着が湧いてしまう物、だから誰も手放さない。数が少なくて状態が良い理由を、そんな風に想像してみています。ブルーのドット、ゴールドのドット、そしてチェッカーフラッグ柄、縦縞、大体はその4種のようですが、それに限るわけではないとも思うので、これは今後も見つけては買い集め、ここにラインナップしていこうと思っています。さてさて死ぬまでに何個集められるでしょう。今回併せてアラビア・アート・デパートメントの事、カーリナ・アホの事をザックリ調べてあるので、それも覚書として以下に残しておきます。

アラビアでは、1932年にアラビア アート デパートメント(芸術部門)が新設され、トイニ ムオナ(1904-1987)、アウネ シーメス(1909-1964)、ビルガー カイピアイネン(1915-1988)ルート ブリック(1916-1999)等、優れたアーティストやデザイナーが活躍を始めました。アラビア アート デパートメントでは作家が自由な発想で創作活動を行い、その才能を見事に発揮、1930年代のミラノトリエンナーレでは大きな注目を集め、1937年のパリ万国博覧会に出品された陶磁器コレクションは国際的な評価を得ます。1945年には、カイ フランクがアラビアに参加し、その後デザイン部門のディレクターとなり、カーリナ アホ(1925-1990)、ウッラ プロコペ(1921-1968)、ライヤ ウオシッキネン(1923-2004)、エステリ トムラ(1920-1988)、サーラ ホペア(1925-1984)等、その後のアラビアを背負ってたつ優秀な若手デザイナーを採用します。そして1951年のミラノトリエンナーレではフィンランドのデザイナー勢が多くの主要な賞を受賞し、その名声を得ることとなるのです。その時代をフィンランドデザインの黄金期と呼びます。

カーリナ アホはカイ フランクの元で、柔らかで可愛らしいプロダクト、収納に長けたアイテム等、女性らしい視点の楽しいデザインを生みました。代表的な作品に、魚の形をしたまな板Kala / Fish(1953-1960)や、皿やボウル等の食器を重ねて収納できるPalapeli / Puzzle (1964-1975)、そして、ニワトリの形をしたエッグコンテナーMunakana / Egg Hen (1954-1960)があります。またカーリナ アホが形をデザインしたコーヒーカップやソーサー、プレート等に、他のデザイナーがイラストをつけて製品化することもありました。例えばコーヒーカップ&ソーサーのAliは、カーリナ アホのモデルにライヤ ウオシッキネンが装飾を施しています。カップやプレートのシリーズApricotでは、カリーナ アホのモデルにエステリ・トムラが装飾をしています。

フィンランドの動物モノ

動物モチーフの物を生活に多く取り込むと、かなり雑多な生活感が出るものだから、できれば避けたいと思うのだけれど、なんだかフィンランド物はいいねと贔屓目の特例として見てしまう。オイバ トイッカやカイ フランクのバードもありますし、このムナカナも贔屓目の一つです。今回はムナカナが元ネタではないのだけれど、スコープ別注バードのルースターを2017年1月に発売するにあたり、ニワトリネタでこれをアーカイブスにラインナップする事にしただけです。つまり2017年の干支がニワトリであり、他にニワトリ物がないので仕方なくというヤツでして、これを書いている今も、やっぱ出さずにおきたいと、激しいセコ心にとりつかれております。