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Aino Aalto | アイノ・アアルト

Aino Aalto | アイノ・アアルト

Brand : Karhula / iittala | カルフラ / イッタラ Production Period : 1934-1938 / 1951-1960

最初期の4052(1934~1935年)

イッタラの看板アイテムともいえるアイノ・アアルトシリーズ。なぜか新しく感じますが、イッタラ製品の中では最古参アイテムです。アイノ・アアルトシリーズの始まりは1932年のKarhulaデザインコンペと1930年代ですから。1919年から続いた禁酒法が解かれたフィンランドでは、当時の急速な都市化や小規模住宅の増加も相まってガラス器の需要が高まり、新たなガラス器のデザインを広く集めようとKarhulaデザインコンペが開催されます。そのプレスガラス部門で第2位に入賞したのがアイノ・アアルトデザインのBolgeblick(ボルゲブリック)、現在のアイノ・アアルトシリーズの原型です。このBolgeblick(ボルゲブリック)という名前は、石を水に投げた時、水面に広がる波紋を意味するスウェーデン語で、アイノは広がる波紋をグラスで表現しようと考えたのでしょう。スタッキングでき、表面の粗さや気泡が目立つ当時のプレスガラスの欠点を、段になった側面のデザインにより目立たなくしています。その生産がKarhulaで始まったのが1934年、最初のタンブラー4052(18cl)は、現行よりかなり厚みもあり、側面の段のエッジが非常にくっきりと鋭く、凸が非常に大きいので、その後の物とは大きく外見が異なっています。また3分割の型を使用していたため、グラス側面に3箇所の継ぎ目が縦に残り、底は丁寧に研磨されています。僕はビバンダムと呼んでいますが、そんな雰囲気があるのです。勿論、これはなかなか出てくるものではありません。なにせ生産期間が1934年から1935年と強烈に短いですから。また、その形状から製造時にも破損も多く(型から外す時に壊れてしまう)、また使っていても欠けやすく割れやすい。そんな事もあり、これを見つけるのはなかなか大変です。多くのガラス製品が欠けていると価値を大きく落とし、なかなか買おうと思えないのですけれど、この4052と1930年代のAaltoVaseに関しては例外で、欠けがあったとしても手を出す事が多いです。早々に生産終了してしまった4052ですが、1935年からはエッジが緩やかになり4056と品番も変わり、現在の形へと近づき生産は続いて行きます。

初期のAALTO(1935~1938年)

上記の4052も含め、初期のAALTOシリーズ(1935年-1938年)のカラーアイテムについては判別がシンプルです。カラーが独特でアズールブルー(かなり薄いライトブルー)、リオブラウン(オレンジがかった濃い茶色)、グリーン(かなり濃いグリーン)、スモーク(微妙に緑がかったグレー)と色に特徴があります。またコーディアル、シュナップスと呼ばれる40mlサイズのグラスに関してはライトヴァイオレットも生産されています。それらの色であればザックリと1935年~38年、つまり戦前の初期シリーズでほぼ間違いないと判断できると言われています。最も小さな40mlのコーディアル(ショットグラス)、ピッチャー、16cm前後のプレート、180mlタンブラーやフラワーベース、ボウルなどラインナップはかなり存在しますが、大きなガラスボウル、ボトル、ハンドル付タンブラーなど極めて珍しいアイテムも多数存在していてバリエーションは複雑です。また、初期AALTOシリーズにクリアはもちろん存在していたのですが、僕自身がクリアを集めた経験がなく、そもそもあまり見た事もなく、なんとも言えないのが正直なところです。ただ、当時のカルフラではAalto Vaseも作っていたわけですが、このカルフラのAalto Vaseはそこそこ集めましたから、それを基に考えますと、クリアは2種類あるはずなのです。一つは薄っすら緑がかったクリア。もう1つは今のイッタラのクリアより、色味のないモノクロ写真みたいなクリア。この二つが当時のクリアとして使われていた、はず。追々調べて分かってきたら書き直します。とにかく初期のAALTOはカラーも綺麗で型の跡はあるものの、底面はそれなりに研磨され、バリエーションも豊富、とても魅力的な製品群です。一番手に入れ易い40mlグラス(コーディアル)辺りを色サンプル的に各1持っていると、良い資料となりますし、ウォッカみたいなハードリカーをストレートで飲むだけでなく、日本酒を飲むのにも良い塩梅ですよ。愛用中。

KARHULA-IITTALA(1951~1960年)

1939年から1945年の戦時中は瓶の生産に使われていた緑がかったクリアが使われていたという事ですが、緑がかったクリアはもっと前から使われているだろうし、それがどれを指すのか、ちょっと僕にはわかりません。そして1951年(1940年後半かも)に生産が始まり、1960年(1960年代初めかも)まで生産が続く200mlタンブラー(クリアのみ)には「KARHULA-IITTALA」とダブルネームの刻印があります。これは今のタンブラーにかなり近いです。その後1963年にKarhula・Iittalaを擁するAhstrom社とリーヒマキガラスの間で協定が結ばれ、Iittalaでは普段使いのガラス製品の多くが生産終了。その後、1970年代はリーヒマキガラスでアイノ・アアルトの製品は生産され、1980年代に入りアルヴァ・アアルトデザインのアアルトベースで採算が取れるようになった事が、アイノ・アアルトやカイ・フランクといったデザイナーによる昔のアイテムを新たに立ち上げる切っ掛けとなり、1985年からIittalaで「Aino Aalto」としてアイノ・アアルトのガラス製品の生産が再開します。タンブラーは1987年から2049(220ml)のクリアが型吹きで生産されるようになり、その後1995年にはプレス機での生産がはじまり今にいたります。

ロングライフ

アイノ・アアルトよりカルティオの方が好みだって、スコープは長らく進んできたわけですけれど、1930年代から続く物の変遷を知り、過去の物まで手にしてしまうと新たな感覚が芽生えてくるもんでして、アイノ・アアルト超いいよねぇ~ってのが今です。プレスガラスで作られ続ける、多くの人が普段使いできるグラス。単に色替えという話ではなく、何かスコープらしい企画ができないものだろうか?模索は続く。ただ、色別注するとしてもカルティオより遥かに大きなロットを必要とするのがアイノ・アアルト。頭が痛い部分でもあります。もっとイッタラで特別色とか出してくれたらいいんですけどね。そういう限定色みたいなのが出てきたらアイノ・アアルトについては抑えておいた方がいいと覚えておいてください。再生産される可能性はカルティオに比べて圧倒的に低いですから。