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今回のノッチャンネルは「クラウス・ハーパニエミ」。フィンランドの民話や動物をベースに神秘的なイラストを描くアーティスト。スコープでは「王子」と呼ばれている。ジェームスボンドばりに紳士な方なんだろうと薄々感じてたけど、お昼休みに何気なく「クラウスはなんで王子なんですか?」とシャチョウに聞いてみた。すると、

「もう王子じゃないよクラウスは。。。」

えっ。。!?確かに初期のブログには「王子」と書いてあるのに途中から消えているじゃありませんか。王子に一体何があったのか。。遠い記憶を手繰りながら掘り下げてみます。

編集:スコープ野田



年表

2007 2月 ドイツでクラウスさんと初めまして

2008 11月 日本で2回目のご対面

2009 12月 クラウスさんスコープに遊びにくる

2011 2月 印判小皿カッコー販売開始

2011 10月 スロー・ショール取扱い開始

2014 8月 鳥獣五画手ぬぐい販売開始

2014 10月 六寸皿 印判鳥獣五画 販売開始

2014 12月 カッコー柄ハンカチ 販売開始

2015 5月 印判小皿カッコー 黒呉須 販売開始

2016 4月 イッタラ ハサミ クラウス柄 販売開始

2018 9月 印判小皿カッコー 緑彩 販売開始

2018 11月 Fabric of the day 4th Polar Byzantine 限定販売

2021 2月 スコープ20周年記念ショール Floral販売開始


2007-02

映画かもめ食堂(2006)が流行ったり、IKEA船橋がオープン(2006)したりして、北欧の風がそよそよと吹きはじめた2007年。シャチョウが取引先の方と人生初の海外へ。向かうはドイツのインテリア国際見本市アンビエンテ。まだスマホもない時代、もちろん海外のリアルタイムな情報も無し。だからこそ現地の情報をガンガンアップするぞ!しょこたんレベルのアップ頻度目指して頑張るぞー!っとノキアを片手に飛び立ってゆくのでした。

「準備もあるので帰りまーす。」
「とりあえずネットできるところ発見」より

ドイツのフランクフルトから会場までの道のりをドイツ語に苦戦しながら、なんとかたどり着いたシャチョウと平山専務。アンビエンテといえばインテリア・家具・キッチンウェアで世界最大の見本市。会場は東京ドーム6.5個分のものすんごい広い会場。広くてバテるの必至。さらに東洋人が写真を撮ろうとするとパクられ懸念から怒られる。でっかい東洋人、なぜかマークされる。それでも挫けず勇気を出してアイアムジャパニーズ!とカタコトの英語でカタログをもらいます。

「バスと電車でメッセにむかっております。ドイツ語が全く読めんとです。」
「展示会場が広すぎてすでにガス欠気味。」より

そしていよいよイッタラの新商品発表の時間。その年に発表されたTaikaシリーズのデザイナーとしてクラウス・ハーパニエミが紹介され、記念撮影会がスタート。シャチョウと専務は張り切って先頭に並び、記念撮影パシャ!緊張気味のシャチョウのセーターを見るやクラウスが「そのセーターDIESELだよね?」と声をかけてくれます。ミラクルセーター発動!ちょうどその頃DIESELとお仕事をしてたんだとか。緊張マックスで並んでいる東洋人に優しく声をかけてくれる。それが紳士クラウス。王子の誕生です。帰国後シャチョウは「絶対クラウスは良いやつや〜」と言ってました。

「怒られながらも死ぬ気で撮影」
「イッタラのプレス発表を見に行きました。」より

2008-11

その後何度か海外に出張し、海外じゃーイッタラじゃなくてイーッタラって言うんだよと、海外うんちくも「さま」になり始めたシャチョウ。この年イッタラ銀座がオープンし、オープン記念のレセプションでクラウスと2回目の対面を果たします。シャチョウはあの時と同じDIESELのセーターを着込み準備万端。さらにクラウスの作品集を見て、きっと好きだろうとビアズリーの挿絵が入った古書を準備。そして再会の時、クラウスはDIESELなシャチョウを当然のように覚えていてくれて、スコープの事を話すキッカケを掴みます。そして最後にビアズリーの本をプレゼント。かーなーり喜んでくれたみたい。再会記念写真を何枚か撮った後、クラウス自ら「これならアップしていいよ」とイケてる写真をチョイス。王子は見栄えも大事なのです。最後に名古屋にもいつか遊びに行くよって連絡先を交換してくれたのでした。

「イーッタラ ザーギン レセプション」より

2009-12

古書をプレゼントしてクラウス王子のハートを鷲掴んだシャチョウ。ゲットしたメールアドレスでやり取り開始。スコープが毎年販売していたスケジュールノートの表紙を描いてもらおうと動き出します。その時すでに売れっ子アーティストのクラウスに恐る恐る表紙の依頼をしてみるとなんと2日後にOKの返事が!ビアズリーの本をくれた事がすごく嬉しかったみたい。そこから一気に話が進み、待つ事数ヶ月。その時はやってきます。「キター!」とデスクで急に盛り上がるシャチョウ。メールで添付されてきたグラフィックを早速複合機へ送信!プスーーと出てきたA3用紙をテーブルに並べ、わらわらと集まって覗きこむスタッフ一同。。。2匹の鳥と散りばめられた植物・細かいところまで描き込まれたカッコー柄を見て

「クラウスすげーーーー!」

って全員で盛り上がりました。

「スケジュールノートの表紙グラフィックできまいた」
「2010年スケジュールノートができまいた~」より

2009-12

マイケル・ジャクソンの「This is it」が流行った2009年。東京で仕事をしていたクラウスが事務所でムーンウォークを連発するシャチョウまで会いに来てくれる事に。シャチョウは入念にお出かけコースを下見して旅の計画を練ります。1日目はスコープ事務所の近く、国宝犬山城と国宝有楽苑か〜ら〜のスタッフだけのサイン会。2日目は王子希望で地元民も知らないロボットが作るラーメン屋と名古屋のスターバックス「コメダ」へ。お互いに緊張も解け、王子は真顔でクリームソーダ、対するシャチョウはミックスジュース。ボケ合戦を繰り広げます。もちろん王子の勝ち。そんなボケ合戦の合間にシャチョウはカッコー柄の和食器への展開を提案してみるのでした。

「クラウス・ハーパニエミ王子 日本にくる(1日目)」
「クラウス・ハーパニエミ王子 日本にくる(2日目)」より

2011-02

おもてなしの旅から1年後、東屋さんのバックアップで印判小皿カッコー柄のサンプルが届きます。それを見たクラウス王子も凄く気に入ってくれて、ほどなく製品化へ。初めて完成品を見た時、かわいいとか使いやすいとか、それ以上にうまく言い表せなかった当時の僕。シャチョウはメルマガで以下のように紹介していました。

全く同じ柄が綺麗にプリントされ あっという間に何千、何万と作れてしまう時代で綺麗に同じ物を作る事はどちらかといえば簡単で安価。でも、それが全てでは、やはり味気なくないかな?

印判は古くから続く量産の手法です。とはいっても、一つ一つ柄を手仕事で転写していくので簡単に何千なんて数はつくれません。でも、手仕事での染付けだからこそ 色の濃淡、柄のズレや切れや抜け、そして滲みという個性、個体差という価値が生まれます。

だから、かわいい。

この、現在では忘れかけられている価値を持つ印判に世界的に活躍するデザイナー クラウス・ハーパニエミが強く興味を示し協力してくれる事になりました。

正直なところ、彼は超が付くほど売れっ子で仕事をしてもらうのは非常に難しい。 相当絞って仕事を受けているので興味を持ってくれる内容でなければ参加してくれません。

今回のカッコーは2010年のスコープスケジュールノート用にとクラウスが古い詩からインスピレーションを得て描いてくれた柄です。

In April I open my bill / 4月に私はクチバシを開き
In May I sing night and day / 5月には昼夜唄い続ける
In June I change my tune / 6月に私はメロディーを変え
In July far far I fly / 7月には遠く遠く羽ばたく
In August away I must / 8月、私は飛び立たなければ

本当は、このカッコー小皿はクラウスのグラフィックが非常に印判と相性がよく 素晴らしいお皿ができる!それを実物で見せて伝えたかったから試しに作ってみたお皿なのですが、あまりに出来がよく、クラウスも気に入ってくれたから製品化する事にしました。僕が高まっちゃったんです。正直。

もちろん、新たなデザインもこれから続々と提供してくれる事になっています。

印判のような量産品があるということ。みんなが忘れてしまわないように 古い物だけにしてしまわないように作り、広め、使っていく事が大事です。

今回参加してくれたクラウス・ハーパニエミをはじめとする多くのデザイナー、製造に携わる窯元の方々、東屋、そしてスコープと一緒にこの印判を次の世代にまで続けて参りましょう!!

僕たちの親世代で食器に知識を持っている方でしたら
『 おっ、印判だね。いいね。 』
って、すぐにわかってくれる人も沢山いるようです。実際、そんなお話を教えてくれたお客さんそして、スコープスタッフもいましたから。

『 印判だね! 』
ってわかる大人になりたい。

電子書籍 スコウプ 2011-02-07号より

2011-11

この年も新宿伊勢丹のクリスマスデコレーションをデザインしていたクラウス。日本に来る時はシャチョウにも連絡をくれてミーティングという名の食事会でアイデアとプリン体合戦。痛風持ちのシャチョウは「ワインなら大丈夫らしい!」と、どこで仕入れた分からない情報を吹聴しながらワインでミーティングに挑みます。一方クラウスは自身が生産現場へ足を運びプロデュースする「クラウス・ハーパニエミ コレクション」をスタートさせていて活動範囲はどんどん広がっていきます。そのコレクションの中から、クッションカバーやブランケット、そして今も続くウサギ柄のショールやスローを取扱いしていったのもこの頃から。

「クラウス・ハーパニエミ ディナー会」
「北欧モダンコレクション 伊勢丹 新宿店 [夜ご飯]」より

2012-08

印判小皿よりもう少し大きい和食器が欲しいんだよなーと常々言っていたシャチョウ。カッコー柄で実績があるクラウスに大きさと形を伝えて依頼してみます。この頃クラウスは超有名ブランドと沢山お仕事をしていて、さらにロンドンにショップをオープンする準備など昭和アイドル並のタイトなスケジュール。弱小クライアント、スコープのことを忘れてしまったのか、なかなか話が進みません。そして事件が起きます。

ようやく送られてきたお皿の柄、それはクラウスの既存の作品を丸く配置した、求めているものとかけ離れたものでした。いろんな仕事をしていて創作する時間が取れなかったのかなぁ、、カッコー柄の感動があっただけに、シャチョウはガックリ。そこからクラウスと1年ほど音信不通に。確かにこの頃から「王子」という言葉が取れているではありませんか。

2013-??

王子が取れても毎年のようにクラウスのアイテムは増えていったし関係が修復するキッカケが何かあったのかなーと探してみても「僕達仲直りしました!2013」みたいなブログは見当たらない。そりゃそうだ。。でもふと思い出しました。クリスマスが近い12月、「久々にクラウスとご飯だー、緊張するやー。」ってなんだか嬉しそうな表情で出かけて行ったシャチョウを。その時は分かってなかったけど、よくよく聞くと、ずっと音信不通だった2人をスコープの窓口「玉木」とクラウスの窓口「ミア」の女子チームが食事会を開いて修復したんだとか。その食事会の写真が残ってないのは、お互いボケ合戦なく大人の対応で雪解け、ノーサイドー!となったのでしょう。

そして再始動した和皿の新作。「難しいよなー、なんて頼んだらいいかー」と依頼方法をもう一度考えるシャチョウ。しばらくしてフィンランド出張のスケジュールを組むと、普段はロンドンにいるクラウスもその週はフィンランドにいるとか。偶然、、いや影の力か。。とにかくフィンランドで久々に再会して料理とお酒を楽しみクラウスと話をし、次はスタジオがあるロンドンへ行って印判を完成させようってことに。ネクスト印判の完成に向けて一気に加速します。

「ビバ!クラウス・ハーパニエミ!」
「クラウス&ミアに再会」
「KLAUS HAAPANIEMI WINTER SHOPのカクテルパーティー」より

2014-10

ロンドンでメインの柄と縁の模様をそれぞれ考えてくれないか?と改めて依頼したシャチョウ。それに応えるクラウス。鹿、孔雀、うさぎ、蜂に植物を配置しそれぞれに縁の模様。カッコーに並ぶ素晴らしい図案が遂に届きます。オンライン一筋のくせに、やっぱり最後は対面なんだなぁと思わされます。

でもここからが本番です。東屋さん全面協力のもと土は何にするのか、釉薬は何を使うのか、高台はどうするか、1つずつ丁寧に決めていきます。波佐見の職人さんに何個もサンプルを作ってもらい、高台は小さく程よい高さ、和にも洋にも合う、古物のようで現代物、スコープ的マスターピース六寸皿 印判鳥獣五画が完成と相成りました。

2022-12

2014年の六寸皿完成からイッタラのハサミ、ショールの新柄、印判小皿の新バリエーション、それに2018年冬には限定テーブルクロス「Polar Byzantin」でクリスマスを盛り上げてくれたり、20周年記念にはスコープのために花をベースにしたFloral柄を描いてくれたり、、、毎年「クラウスの〜」と名前を聞かない年はありません。そして2023年は卯年。ウサギといえばクラウスのウサギ。すでに新たな形のお皿が届いてて、すこぶる良さげ。スコープとクラウス、随分と長い間一緒に歩いてきたもんです。これからも楽しみだなぁ。痛風以外は。

(2022/12/05現在)

ノッチャンネル アーカイブ

ノッチャンネル

01. ヘイニとスコープ

第一回はルノのデザイナーでもあるアラビアアートデパートメント在籍ヘイニさんとの出会いから10年後にルノを別注するまで。2008年10月、それはシャチョウ37歳の冬から始まります。