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2019年8月1日
8月の食材「アワビ」

じっくり2時間蒸してみて!
初夏の夏のとっておきのおもてなし

8月は、子供は夏休み、大人も休みが多い時期ですねー。それに合わせての帰省やら、人が集まって食事することも増える季節です。 皆で食卓をかこむと、自然と「おいしい~」とか「これどこで買ったの?」、なんていう何気ない会話も生まれつつ、「おかえり」とか「おめでとう」、「子供も喜ぶかな」「お酒に合うでしょ」、みたいな、言葉にはしない気持ちのやり取りもあるのがいいなぁと思います。 そんな人が集まる食事の準備をする時には、自分も楽しみながら周りにも楽しんでもらえるように考えたいところ。僕も少なからず料理を作ってもてなすことがありますが、こんな仕事をさせてもらっておきながら、家族以外の誰かに自分の作った料理を食べてもらうことにけっこう緊張するタイプでして…。そんなときの心強い味方が、作り置きできる料理です。 事前に作っておけるものがあると、当日の時間的&心の余裕がうまれます。自分があわてず舞い上がらず、納得するものがきちんと出せること、ここがほんと重要! 前置きが長くなりましたが、8月のテーマは「アワビ」。言うまでもなく高級食材のひとつ。簡単には手を出せないという気持ちは分かりますが、ちょうど夏が旬まっさかりですし、普段食べられないものだからこその食卓での存在感もあり、おもてなしっぽさを出すにはもってこいです。 僕のオススメは、失敗知らず・作り置き可の「蒸しアワビ」。じっくり蒸すことで身はやわらかく、生の刺身よりも味は濃くなり、逆に臭みは感じにくくなり、年代問わず喜ばれる一品に。

アワビは蒸す前に塩を2~3つまみ振ってタワシでごしごし身をこすりましょう。サッと水洗いしてから蒸し器に入るバットや器に移し、アワビ1個に対して酒大さじ1/2ほどを振りかけます。あとは蒸し器で蒸気が立ちのぼる状態をキープし、弱火で2時間蒸す。自然に冷ましてラップをして冷蔵庫に入れておきます。

食べるときはしゃもじなど平たいものを殻と身の間にさし込んで身を外し、身から肝を取り出してそれぞれ食べやすく切ればOK。

彩りよい夏野菜の常備菜と組み合わせれば、当日あわてることなく、もてなせること間違いなし!たまには一緒に食事をしたい人を招いて、腕をふるってみましょう。意外といい夏の思い出になりますよ。

蒸しアワビは冷蔵なら3日ほど日持ちします。料理にボリュームを出したい場合は、たっぷりのアスパラをバターで炒めて、火が通ったタイミングで食べやすく切った蒸しアワビを投入!塩、こしょう、少しの醬油で味付けすると、極上の炒めものができあがります。シンプルな蒸しアワビに炒め物、どちらも甲乙つけがたい…。ちなみに、お重に盛り合わせた常備菜は「みょうがの甘酢漬け」「焼き枝豆」「夏野菜の揚げびたし」の3種です。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク

2018年12月1日
12月の食材「水菜」

湯気も美味しさのひとつ
蒸したてをすぐ食卓へ!

料理屋で働いていたのは、もう10年以上も前ですが、いまでもたまにリアルな夢を見ます。下っ端として、とにかく仕事に追い回される、ちょっと冷や汗をかくような…。おぉ、夢だったって起きるんです(笑)

この頃の経験がなければ、いまの仕事はできていないと言い切れるほど、たくさんのことを勉強させていただいた時期なのですが、濃密すぎたからこそ、いまだに夢にみるんでしょうね。素材の下ごしらえ一つ一つも、あのときはどうしてたかな、と思い返すことが多いです。

例えば、冬が旬の水菜。下処理で注意したいのは、他の青菜よりも葉や根元に土が残りやすいところ。ため水の中でふり洗いするのが、料理屋のころから変わらぬ僕のやり方になっています。

冬の青菜には、ほうれん草や小松菜もありますが、アクの少ない水菜はどんな料理にも合わせやすく、その当時も登場回数が多かったように思います。料理に合わせて水菜を蒸すのも僕の係で、色味を残す絶妙な蒸し加減で出すために、進行具合から逆算して、ここぞってときに蒸し器に放り込んでたなぁ。

今回はそんな水菜と豚しゃぶ肉を合わせます。火の通りやすさが同じくらいの2つの素材をシンプルに蒸して楽しむ簡単おかずです。“蒸す”という言葉を聞いて、「あーじゃあムリだ」と思ったあなた!蒸し器を使うのは一つの方法であって、フライパンを使っても作れるので、あきらめないでくださいね。

さて、はじめに蒸し器や蒸籠での作り方から。切った水菜をお皿に広げ、豚しゃぶ肉を上に広げます。肉に軽く塩・こしょうをして水菜を少し足し入れたら、酒、ごま油、すりごまを少量ずつ回しかけて蒸します。蒸し時間は4~5分が目安。豚肉の色が変わるころには水菜も食べごろになっています。熱々にポン酢をかけていただきましょう!

より手軽に作りたいときは、お皿の時と同じように、直にフライパンに素材を広げ入れ、ごま油とすりごまをかけます。違うのは酒の分量だけ。蒸し器じゃないので、フライパンの中に蒸気となる水分を入れておく必要があるわけです。大さじ2~3ほどの酒を入れて蓋をして中火にかけ、沸いたら火を弱め、火が通るまで酒蒸しすれば完成です。道具が違えば少しは味が変わってきますが、それもまたおうちの味になってくれるんですよね。

今回の蒸籠蒸し1皿には、水菜100gに豚しゃぶ肉50g、酒とごま油、すりごまを小さじ1ずつ入れて作っています。フライパンで作ると水分が多い分くたっと、蒸し器だと比較的シャキッと仕上がります。すだちや柚子、橙といった柑橘類があれば、ギュッとしぼりかけたあとに醤油少々でも美味しいですよ。

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク

2018年9月10日
第45回 ふくふくまめまめの日

ふくふくまめまめの日ふくふくまめまめの日
ふくふくまめまめの日ふくふくまめまめの日
ふくふくまめまめの日ふくふくまめまめの日
ふくふくまめまめの日ふくふくまめまめの日

2017年1月12日
木屋の和蒸篭 使い方をマスターする。

木屋の和蒸籠をゲットしたら、トライしたいもの、シューマイに餃子、おこわ、中華まん、茶碗蒸し…寒い季節にぐっとくるホカホカが次々と襲ってくる。さぞかしおいしいのだろうねぇ、妄想は膨らむばかり。そんな和蒸籠の実力を、この目と舌で確かめるべく、まずは撮影合宿に持ち出して、色々使ってみることにした。さてこの私にうまく使いこなせるのだろうか。

今まで蒸籠というと中華蒸籠をイメージしていたけど、今回使うのは和蒸籠。分厚い蓋と深さのある身、取り外しのできる竹簾が特徴。竹で編まれた蓋の中華蒸籠が蒸気を逃がしやすいのに対して、和蒸籠は蒸気をしっかりと閉じ込めるので一気に蒸し上げることができるのだとか。

木屋 和蒸篭(せいろ)

一見種類がたくさんあって混乱するけど、整理してみるとこの4系統。右から六寸半、七寸、八寸、九寸の蓋と身と蒸し板。八寸と九寸は、深タイプに加え、浅タイプもあります。

木屋 和蒸篭(せいろ)
七寸 深
木屋 和蒸篭(せいろ)
七寸 深

スコープで一番よく使う、ダンスクの鍋と一緒につかえるのはどれだろう。2Lサイズが直径約18.5cm、七寸サイズが蒸し板無しでも使用できました。蒸籠下の袴という部分の内側が鍋の縁に乗っかっている状況です。六寸半ものりましたが、かなりギリギリなので、個体差によっては使えない可能性もあり。避けたほうが無難。

木屋 和蒸篭(せいろ)

この時気をつけないといけないのが、鍋の持ち手が邪魔になっていないかどうか。ダンスクのキャセロールは持ち手部分が上の方についているので、蒸籠の端が引っかかってしまうことに気付きました。そうなると鍋と蒸籠の間に隙間ができ、そこから湯気が漏れてしまう。ということで、この場合は蒸し板が必要になります。鍋に蒸籠を直接載せて使う場合は鍋の持ち手が、端から1cm以上離れているか、チェックが必要です。

木屋 和蒸篭(せいろ)

蒸し板があれば、蒸籠の端を焦がす心配もないのでおススメ。文化鍋のように、鍋の縁が広がっているタイプに蒸籠をはめる場合はいいのですが、鍋よりも外側に、蒸籠が出ている状態で使用すると、結構焦げます。合宿先はIH調理器だったんですが、火が出ていないのにうっすらと焦げていた!蒸籠はお湯を沸騰させるので、火を強めがち。火力にも注意です。

木屋 和蒸篭(せいろ)
九寸 浅

さてそれでは実践編。まず最初に蒸してみたのは、葉山でとれたカラフルな野菜。野菜を並べた蒸籠を、勢いよく沸いている鍋の上にのせてしばらく蒸すと、鮮やかな色に蒸しあがりました。ゆでた時のような水っぽさもなく、レンジでチンした時の妙な繊維っぽさもない。茹で野菜にはそれほど惹かれない私も、これはたくさん食べられました。根菜類、葉物、お芋系が特に美味しいらしいので、他にも色々やってみたい。

木屋 和蒸篭(せいろ)
七寸 深

次に、"卵を蒸すと失敗知らず"という記事をみたのでやってみたら、殻はきれいにむけ、食感もプリプリ、これはなかなかいける。濡らして、塩を振りかけたキッチンペーパーで包んで蒸すと、塩味のついたゆでたまごができるらしいです。ゆでたまご好きのシャチョウが興奮してました。

木屋 和蒸篭(せいろ)
八寸 深
木屋 和蒸篭(せいろ)
九寸 浅

少しずつ蒸籠の扱いにも慣れてきたところで、定番のシューマイ。そのまま食卓へ出したいので、浅型を使用。クッキングシートを敷いて、竹簾に直接汚れが付かないようにすれば使い終わった後のお手入れも簡単。隙間の無いよう詰める詰める。

木屋 和蒸篭(せいろ)
上 : 九寸 深、下 : 九寸 浅

シューマイ蒸籠の上では、同時に弱火でじっくりと火を通したい中華風茶碗蒸しを調理。少しこなれてきました。上段のほうが温度は低いので、蒸籠を重ねる場合は上下を入れ替えたり料理によって使い分けるのが良いです。なんて徐々に偉そうなことを言うようになってきました。

木屋 和蒸篭(せいろ)
九寸 深 + Tiimi ディーププレート22cm

バンバンジーの鶏肉も蒸してみた。蒸すとしっとり柔らかく仕上がります。油や水分がたくさん出るので、深さのあるTiimi22cmプレートに載せて蒸籠に投入。蒸籠に食器をいれて調理する場合は、ふきんや手ぬぐいを一枚噛ませると、調理後に取り出しやすいです。というか、熱くて汁だくの皿を布無しで取り出すことは不可能。やけどをするか油まみれになる可能性大なので、このテクはぜひ覚えておいてください。あと、布の端にガスの火が燃え移らないようご注意を。

木屋 和蒸篭(せいろ)
木屋 和蒸篭(せいろ)
九寸 浅

中華三昧の図。蓋を取るともくもくと湯気が立ちのぼり、みんなもテンションマックス。シューマイって簡単で美味しい。

木屋 和蒸篭(せいろ)

あっという間になくなったので、もう一蒸し。

木屋 和蒸篭(せいろ)

右 : 九寸 浅、深左 : 八寸 浅、深翌日、今日はおこわ+茶碗蒸しの2段と、蒸しブタ+蒸し卵の2段、4蒸籠一気使いにチャレンジ。この図が撮りたかっただけなんですが。

木屋 和蒸篭(せいろ)
木屋 和蒸篭(せいろ)
八寸 深

おこわは、もう少し目の荒い蒸し布を敷いて作るのが本来のやり方らしいけど、無かったので未晒し木綿を使用。これだと少し小さかったのと、目が詰まっているからか?お米が柔らかくなるのに少し時間がかかりました。20分くらいもち米を炊いて、そこに煮汁と具材をのせて更に10分蒸せばOK。

木屋 和蒸篭(せいろ) 木屋 和蒸篭(せいろ)

おこわの上の段では東屋の蕎麦猪口に茶碗蒸し。八寸サイズなら5個、九寸サイズなら6個入ります。茶碗蒸しは火が強すぎると「す」が入ってしまうらしいので、上段で調理。

木屋 和蒸篭(せいろ)

前の晩から塩をぬり込んでおいた豚バラブロックは九寸で蒸しました。臭みを取るネギとショウガをのせ忘れたけど、美味しく蒸しあがったので結果オーライ。油をこぼさないように、そっと取り出している図。

木屋 和蒸篭(せいろ)

4蒸籠一気蒸しはかなり上級者の気分が味わえます。なんかすごい使いこなしている感じ。ただ、たくさん蒸すと案外すぐに鍋の中の湯がなくなるので、片方のガスではお湯を沸かすのが正解かも、と途中で気づきました。お湯を沸かし始めた図。さて使い終わった蒸籠は冷めて汚れがこびりつく前に、束子でこすり洗い。汚れが少ない時は、濡れふきんで拭くだけでも十分だと思います。もし臭いが気になる場合は中に何も入れずにから蒸し。使い始める前、木の余分な臭いをとるのにも効果的です。

木屋 和蒸篭(せいろ)

そしてお手入れで一番大事なのが、十分に乾燥させること。使い終わったら、水気をよく拭き取って、風通しのいい場所に干して乾かします。薄い木の板を曲げて成形している蒸籠は、木の隙間がたくさんあるので、水分が残りやすい。大事な蒸籠がカビまるけにならない為にも、これは絶対です。素材の水分が損なわれることなく、じっくり蒸し上がった食材は電子レンジでチンしたり、茹でたりするのとは全く異なる味。温め方の違いでこうも変わるのかと、驚きました。しかしその昔はずーっとこうして調理していたんだよな。日本で古くから大切にされてきた"蒸す"調理法。便利さを優先して、これを忘れてしまうなんてもったいない。それを思い出させてくれた和蒸籠だから、これからも大切に、使い続けていきたい。そんなことを感じた、和蒸籠との日々でした。さて、そんな木屋の和蒸籠をいよいよ販売します。こんなに和蒸籠の良いところを書き並べておいてなんですが、職人さんが一人で作っているので、生産量がとても少なく年に一度くらいの入荷になりそう。蒸し料理にトライしてみたい人はぜひお早目にどうぞ。

和せいろは蒸し板を使用しないで直接鍋に載せて使用できますか?

木屋の和蒸籠は、蒸し板があれば、一緒に使える鍋のサイズが一気に広がる上に、鍋底からはみ出した火で、蒸籠が焦げるのも防ぐことができるのでスコープではせいろとセットで揃えるのをオススメしています。鍋に直接せいろをのせることもできるのですが、鍋のタイプによって事前に確認が必要です。

蒸し板を使用せず、直接載せて使用する場合の鍋のサイズ

・ 六寸半 : 直径17.5cm~18.5cmの鍋
・ 七寸 : 直径18.5~19.5cmの鍋
・ 八寸 : 直径21cm~22cmの鍋
・ 九寸 : 直径24cm~25cmの鍋

正円形で、縁部分が平らな形状の鍋は、鍋の縁に直接、蒸籠を載せて使えます。ただ、鍋の持ち手が淵から1cm以上離れたものでないと蒸籠がしっかりはまらず蒸気が漏れてしまうので使用できません。また、この場合は蒸籠の縁に火が当たって焦げやすいので、鍋底から火が出ないように注意してください。

・ 六寸半 : 外径が19.5cmより大きく、内径がそれよりも小さい鍋
・ 七寸 : 外径が21cmより大きく、内径がそれよりも小さい鍋
・ 八寸 : 外径が23.7cmより大きく、内径がそれよりも小さい鍋
・ 九寸 : 外径が26.7cmより大きく、内径がそれよりも小さい鍋

鍋の縁が広がって、蒸籠を載せられるようになっている専用鍋を使用する場合は、蒸籠の外径が鍋の外径よりも小さく、段差部分に安定して載せることができるか確認してください。

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