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2019年5月1日
しらす

「本当に美味しいものは、何日か続けて食べて飽きないもののことだよ」と、社会人になりたてのころ通っていた八百屋の店主さんに力説されたことがあります。

いま、美味しいものについて考える仕事をさせてもらっていて、たまにその言葉を思い出すことがあります。なるほどそれは確かにそうかもしれない。       “美味しい”の基準はいろいろですが、何日か連続で食べれちゃう料理は、その人にとって確実に美味しいものと言えるでしょう。僕の実感としても、一回食べてめちゃくちゃ美味しいものよりも、「昨日も食べたんだよなぁ~」と思いながらも箸がすすむ料理の方が、また作ろってなるし、家族からの評判も良い気がします。今回紹介する“釜揚げしらす丼”は、うちにとって、いまの時期、まさにそんな一品です。

春を迎えてあたたかくなってきた頃からが全国的にしらす漁の時期。獲れたてを漁港近くで茹であげた「釜揚げしらす」は、冷凍でないものが出回るようになり、そのプリン!とした身の口当たりと、臭みのないやわらかな風味は、何とも言えない美味しさ! 冨田家ではスーパーで買うのはもちろん、より新鮮なものをお取り寄せすることもあるのですが、鮮度が良いものは本当に食べ飽きないんですよね。

さて、しらす丼の作り方ですが、ご飯の上に順に乗っけていくだけなので失敗のしようがありません。ひとつ、僕のこだわりがあるとすれば、ご飯の上に少しのカツオ節を散らすこと。丼ぶりいっぱいのご飯を食べるなら、多少味わいに複雑味や変化があった方がいいですし、丼ぶりにはやっぱり「かっこみたい!」くらいのやみつき感があってほしいと思うので。

話がそれましたが、次は、カツオ節の上に釜揚げしらすをドーナツ状に盛り、中央にそっと卵黄をのっけます。刻みねぎや青じそといった薬味が一つでもあれば、見た目も味も、そして作りやすさもふまえて、これ以上ないカンペキな丼ぶりかと。

ちなみに、おかずや丼ぶりなどに卵黄だけを使った時は、献立の汁ものを卵白のみそ汁にすると良いです。卵白に合わせる具材はあるものでいいのですが、油揚げや天かすなど、卵黄の代わりとなるコクの出るものをちょっと加えると、みそ汁の味がまとまってより美味しくなると思いますよ。

茹でたて釜揚げしらすをわざわざ家でちょっとだけ冷凍して、【茹でたて冷蔵品vsその冷凍バージョン】で食べ比べしたことがあります。茹でたてを口にしたときに広がるクセのない良い風味って冷凍すると弱まって、魚のクセや苦味が若干強くなる気がしました。「冷凍しないほうが美味しい!」というのが、僕の舌メーターの判定結果です(比べるとですけどね…)

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ