ブラック誕生
ブルーとイエローで彩られたパラティッシの人気が高まると、間もなくバリエーションが作られます。ブラックホワイトのパラティッシは、もともとアラビア工場のプロダクトマネージャーのアイデアから始まり、カイピアイネンが実現したものでした。これは当時カイピアイネンの若い同僚であったヘルヤ・リウッコ・スンドストロム(Helja Liukko-Sundstrom)が教えてくれました。ブラックホワイトの発売後間もなく、多くのデザインを追う人々やコレクターを中心に人気アイテムとなります。ブラックホワイトのアイデア自体は、カイピアイネンのものではありませんでしたが、決してカイピアイネンのスタイルに反するものではなく、実際彼のアートプレートの中には2色の作品も存在します。そしてブラックホワイトの発売後、カイピアイネンは2色のパラティッシに強く興味を抱くようになり、いくつか試作をしています。カイピアイネンからそのプロトタイプを貰い受けたヘルヤが自宅の倉庫から実物を持ってきて見せてくれました。明るい地色に強烈なコバルトブルー、カイピアイネンが最も製品化を望んでいたのは、そのパラティッシだったそうです。他のプロトタイプは黄色味がかったブラウンと、赤味のあるブラウンです。しかし、当時のアラビアはブラックホワイト以外のカラーバリエーションは追加しないと決定した為、試作されたそれらのパラティッシが世に出ることはありませんでした。また、パラティッシと同形の4シリーズが同時期(シリーズにより生産期間は異なります)に生産されています。何も柄がプリントされていない黄色のアアタミ(Aatami※アダムの意)と白色のエエヴァ(Eeva※イヴの意)、そして黄、赤、緑の上絵が施されたスンヌンタイ(Sunnuntai※日曜日の意)、そしてアピラ(Apila※クローバーの意)です。これらのアイテムは少量生産され、1974年までに全てが生産終了となりました。古いカタログではパラティッシとエエヴァ、アアタミが同シリーズのようにまとめて同ページに掲載されています。