カステヘルミと同じようにプレス加工で生産されるツンドラ、1970年から2年間しか作られなかったオイバ・トイッカのガラスシリーズです。アイテム展開も絞られていて生産期間はとても短いのですが、フィンランドのビンテージショップを巡っていれば(2019年頃までの話ですが)ポツポツ見かけましたから、当時はプレス加工でそれなりに量産されていたのだと思います。とはいえフローラやファウナ、カステヘルミのようには出会えない。だから、見つけると欲しくなります。そんなツンドラが、2022年末に復刻されました。ツンドラはカステヘルミ同様、器の外側にツンドラ模様が施されているので、外側はデコボコ、内側はツルツルです。カステヘルミに比べましたら柄の凹凸は小さく感じますが、ガラスが厚いので少しズッシリしています。初めて手にするとその厚さにマイナスを感じる方もいると思いますが、使っていくとその感覚は変化し、ガラスに厚みがあることで輝きが増していることがわかってきます。すると、やはりツンドラに厚さは大事なんだ、その輝きが大きな魅力なのだと理解できます。どちらかというと小さなアイテム群ですから、これだけでテーブルを構成するのではなく、メインの食器を補う使い方をすれば大活躍です。特に和食器との相性が素晴らしく良いのは他にない魅力、低くて広いフォルムには日本的なバランスを感じますし、そのパターンは小紋柄のようにも見えますから、和の食器群に実にしっくり馴染んでくれるのです。その混ざり合う様子を見ると、オイバ先生の食器が日本の生活に重なり沁み込むようでとても嬉しくなります。クリア以外のカラーアイテムも生産されていますが、スコープでは今のところクリアのみに絞り取扱いを続けています。


ツンドラを和食器と一緒に使うとイイナとは思ってましたが、最近「ツンドラって和食器なん?」それぐらいの相性の良さを感じてしまったので、そんな食卓をレポート、このテーブルセットに至った経緯と思考をツラツラと書いてみます。この日の食器は和食器メイン、石本藤雄先生様の食器を中心とした手巻き寿司プランです。具材を盛り付けるセンターピースとなるような大皿が無かったので花絵皿を選び、それがいきなり良かった。そして、花絵皿に乗りきらなかった具材をTundraプレート154mmに盛り付けてみる。これがナイス第一打!種類ごとにお皿を分けたので見え方も綺麗になったし、プレートはリムが高くて持ち易いので、遠くに置かれた具材をお皿ごと持ってきたり渡したりにも便利でした。またクリアガラスだから他食器と合わないことが無いのも素晴らしい。ネギトロとツナはそこそこ量があるのでTundraボウル250mmを選びました。容量的にも見た目的にもバランスの良いナイス第二打です。さて、イクラとカニ身を何に盛り付けるか?最初は猪口蛇の目高台を選んだのですが、もずくを猪口蛇の目高台に入れてしまっていたので、猪口祭りになってしまって綺麗にまとまらない。イクラとカニ身が目立たないのも勿体ない。そこで、猪口蛇の目高台とTundraタンブラー160mlを比べてみたのです。すると、二つがほぼ同じサイズバランスだと気づき、猪口ではなくTundraタンブラー160mlを使ってみることにしました。これがナイス第三打!ス的にホームラン!食卓は最高に綺麗にまとまり、Tundraタンブラー160mlはガラス小鉢にしか見えなくなりました。そして、それぞれのガラス器にキャニスプーン小さじ1/2を添える。食材によっては使いにくかったりもしたのですが(特にカニ身)、統一感があるので僕は満足です。そして最後に焼酎のソーダ割りにカットしたスダチを入れる、そのグラスにTundraタンブラー290mlを選びました。少し太目フォルムが焼酎とよく合います。ナイス第四打もヒットでした。それにて試合終了!こんな流れでこの食卓は完成し、とても綺麗にまとまり大大大満足!でも、このテーブルセット、完全に石本藤雄+オイバ・トイッカの食卓ですよね。フィンランド出張時にはいつも石本先生かオイバ先生の自宅でご飯をご馳走して貰いました。その食卓はいつでも石本先生のテーブルクロスの上にオイバ先生の食器が並んでました。今回は食器と食器、とても仲の良い二人のデザイナーによる食器のセットップ、少し懐かしい感じもするス的なるテーブルセット、凄く良かったんです。

ボウル 620ml
2024年11月に追加されたボウル620mlは、少し深さのあるガラス製の鉢、でも一般的な洋のボウルのように深くはありません。たくさん必要と感じることはないんだけど、使い始めると一つはないと困ってしまう、そんなアイテムです。和食にも洋食にもフルーツにも、実に幅広く使えます。少し浅いフォルムで、日本の小紋柄のような北欧デザインで装飾されたガラスというのも新鮮です。きっと多くの人にとって最も使えるツンドラであり、頻繁に使ってしまう洋食器になると思います。2024年の新作で最も愛用しているアイテムは、多分これです。

タンブラー 160ml
カルティオより50mlほど少ない容量160ml、使用感が似ているのはBellmanウィスキーと東屋の猪口蛇の目高台です。完全な猪口フォルムですから、ざるそばや素麺のツユに使えば涼し気でバッチリ。また、つゆ入れとして使うだけでなく和食器と合わせたり、日本的洋食の食卓でガラス小鉢として使いましたら素敵な雰囲気となります。酒の肴、もずくや納豆、薬味入れ、日本では小鉢を使うことが非常に多くなるので、そこを全て和食器で染めるのではなく、和食器のようなフィンランドのガラス食器ツンドラを混ぜましたら、それは少し新鮮な食卓です。

タンブラー 290ml
太くてズングリしているので手にすると結構大きく感じるタンブラー290ml。このタンブラーが一番似合うと思うのは日本のお酒、焼酎の炭酸割りがシックリくるんです。氷をいれて何かで割るのにちょうどいいサイズというのに加え、ツンドラ模様が小紋型のようということもあって、焼酎の水割り、炭酸割りといった日本の日常的晩酌に凄くしっくり馴染みます。またその柄が少し凸凹しているから、手で持った時の安定感も増し、太いながらもナカナカ持ち易い。和食器が多い食卓なら、お酒の種類は問わずツンドラタンブラーが食卓に馴染みます。

プレート154mm
直径15.4cmだから洋食器としては小振りですが、和食器でいえば五寸皿、銘々皿として一番使える便利なサイズです。リムが立ち上がっているので持ちやすく、深さも1cm程度あるので少し汁気がある料理を盛り付けてもOK、焼肉の時にはキムチ皿として使ってもイケてます。小振りとはいえ料理を盛りつけるフラット面は直径13cmと広いので、とても使い易いガラスプレートです。お刺身や冷菜を盛り付けて食卓に加えれば、陶磁器で埋め尽くすより軽やかで爽やかな雰囲気になります。日本のガラス食器より和食器に混ぜやすいような気がしています。

ボウル 250ml
カステヘルミより背が低いのですが、寸胴フォルムだから容量はわずかに大きいんです。朝食のヨーグルトに始まり和食洋食問わず使える小さなボウルだから、手に取ることは多くなります。ツンドラ模様はどこか小紋柄のようですし、低いフォルムに日本的バランスを感じますから、和食器と一緒に使えば素晴らしく馴染みます。タンブラー160mlとボウル250mlをうまく使い分けましたら、和食器と組み合わせるガラス食器はツンドラでかなりカバーできるはずです。例えば薬味の量が少なければタンブラー160ml、多ければボウル250mlといった具合に。
