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2008年2月11日
お客様にもミートボール

PHOTO:原田 智香子

なぜ、外国人のお客様にお出しできないのだろう?

7歳になる娘のメリが最近私にドキッとするような質問をしてきました。 「お母さん、なんでお母さんは日本人のお客さんにあのミートボールとソースを作ってあげないの?」

言葉が見つかりませんでした。外国のお客様が我家にいらっしゃる時、ミートボールなどの子供達が大好きな、日常的に作る簡単な料理をお出ししようとは私の頭には全く思い浮かびません。

我が家に日本人のお客様、古い友人やマイスオミのお客様方がいらっしゃる時には、いつも高級な食材を買い集め、おもてなし料理を準備します。例えばグラーヴィロヒやスモークサーモン、キャビアの類やホワイトフィッシュ、トナカイの冷燻製肉といった特別料理をバイキング式に並べます。

周りを見ても、度々外国人の来客があるフィンランド人の友人達の家では、皆同じようにしています。つまり、最高のものをテーブルに並べます。

でも、メリの質問は的を得ています。ミートボールがこんなにおいしいなら、何故外国人のお客様にお出しできないのだろう?

日本人の友人や知り合いが、“私たちフィンランド人は普段何を食べているのか”にとても強い興味を持っている事は、私も百も承知な訳ですが、それにも関わらず彼らに“本当に普段何を食べているのか”を見せてしまうのには抵抗があります。本当に恥ずかしい…。気取ったことをしている方が本物の日常を見せてしまうよりもずっと簡単なのです。

ミートボールって、全然特別に見えません。具がしっとりと、柔らかめに出来た時は完璧なボールにならなくて、それぞれが思い思いの形になってしまう事もあります。 思うのですが、人って世界中のどこでも、お客様には本当の姿よりも・・ましな姿を見せたいものではないでしょうか。だから、どんなに質素な食事をしているかを人に見せるのには勇気がいるのですね。

手作りだからこそ、世界一おいしいんです

もうひとつ恥ずかしい理由は、ミートボールがとっても家庭内の内輪のものだからだと思います。つまり、ほとんどのフィンランド人のお母さん、もしくはおばあちゃんは、独自のレシピでミートボールを作ります。それを私達は“世界一おいしい”と思っています。(私も今だに母方の祖母が作ったミートボールが時々恋しくなります。祖母は、始めにたまねぎをバターでゆっくりと時間をかけて炒めました。いい香りが部屋いっぱいに広がっていたっけ…。)それは何より、自分のお母さんやおばあちゃんの手作りだからこそ、世界一おいしいんです。

また、ミートボールは簡単にお客様にもお出しできるようなパーティーバージョンに変える事もできます。日常用には脂肪を含む牛豚の合挽きを使います。もう少し上品なミートボールにしたい時には、例えば牛の上ひき肉を使う、という風に。フィンランドではヘラジカの肉を使うこともあります。そのときはワイルドミートボールと名前が変わります。

ミートボールのおいしさのもう一つの秘密はソースです。この基本レシピにポートワインやマデイラ酒を加えることにより、より高級感のある味に仕立てる事もできます。誰も見ていない時に、オイスターソースを一さじ入れるのも良いと思います。フレンチマスタードを使うとちょっと味に高級感が出ますよ。そういったパーティー風ソースにはたっぷりと生クリームを入れましょう!


Text & Recipe : Hanna Jamsa (ハンナ・ヤムサ)

ヘルシンキを拠点とした現地でのガイドツアーや様々なサービスを日本人旅行者に提供する会社、My Suomi(マイスオミ)代表取締役。実はフィンランド屈指のアンティークコレクターでもある。フィンランド・ヘルシンキ在住。

My Suomiはこちら↓

出来る限りエレガントなテーブルセッティングにしようと、メリと一緒に考えました。 色は黒、白、グレーと決めました。モダンな黒と白のパラティッシに料理を盛りつけ、テーブルクロスはラプアンカンクリのKehraです。

ビルガー・カイピアイネンが1970年代の初めにデザインしたパラティッシの人気には、うなずくものがあります。ただの絵のついたものではなく、何か立体的な感じのあるもの、そして思いっきり遊びの精神があるものを作ろう、という元々のアイデアが、そこにありありと感じられます。

カイピアイネンは同じテーマを何年にもわたり追求し続けたアラビアのアーティストです。彼がアラビアに来たのは1930年代のはじめ、カイ・フランクの時代のずっと前です。カイピアイネンのアート作品には、何千もの陶のビーズを使ったものがありますが、これがパラティッシで描かれているベリーの前身です。あのベリーたちがいまにも飛び出してきそうな感じがするのは多分そのためでしょう。

パラティッシにはもう一つのカイピアイネンにとって大事なテーマ、スミレの花がモチーフになっています。彼は情熱的に、一心にスミレに熱中しました。その結果生まれたのが、お皿自体がスミレの形をしているビオラ皿です。いろいろなサイズで作られたこの<ビオラ皿>は、フィンランドのコレクターの間で大変人気のある一点です。

カイピアイネンはフィンランドのアーティストの中でも有名で、マリメッコの創設者、アルミ・ラティアは彼の親友の一人でした。カイピアイネンは自由奔放なタイプで、やりたいことは何でもやってしまう人。お酒もずいぶん飲みました。

カイピアイネンの作品には、ビーズとスミレのほかに時計盤がたくさんあります。針は3時を指しています。さて、何故でしょう?

彼は一時期、スウェーデンの陶器会社で働いていましたが、その工場長はカイピアイネンの仕事ぶりに不満でいっぱいでした。というのはカイピアイネンはいつでも午後に出勤してきたからです。そして彼は夜明けまで仕事をしたわけですが・・・。

工場長はカイピアイネンに、<時間通りに出勤するように>と注意をしたのですが、カイピアイネンはこれに激怒。間も無く、彼の作るもの全てに時計がついていました。時計、時計、時計…。工場長への復讐です。それ以後、もう誰もこの大芸術家の仕事時間について口を出す人はいなくなったそうです。