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2018年11月1日
自然薯

ある料理雑誌の編集の方とお話したとき、「うちの調査結果だと、すり鉢って持っていない人も多いみたいで…」という話題になったことがあります。

「マジっすか?」と聞き直したあと、しばし絶句してしまったほど衝撃を受けた僕ですが、ここで声を大にして言いたい。和食作りにすり鉢は超便利なのだ!と。

すり鉢には、食材をする(下ごしらえ)、すったものと何かを混ぜる(調理)、そのまま食卓にドーンと出す(盛り付け)、という台所から食卓までの流れを一手に引き受けてくれる万能さがあるのです。

あと、個人的には、すり鉢とすりこ木でごろごろすっていると、ちょっとだけ心が休まるような気がして好きです。同じ作業の繰り返しなのですが、すりこ木から手に伝わる感触も「作っている!」という実感をもたせてくれるんですよね。

さて、今月の食材の「自然薯」、長芋とはひとあじ違う粘りと濃い味わいが楽しめるので、とろろかけご飯が最高に美味しいわけですが、テレビを見ながら、もしくはちょっとボヤっと考え事しながらでも手を動かし、それで美味しくなるんだからいいよなぁ、とすり鉢料理の優秀さをつくづく感じます。

11月くらいから全国で流通し始める自然薯は、最近では天然もの以外に栽培もさかんに行われているので、手に入りやすくなったと感じている人も多いのではないでしょうか。

自然薯の下処理としては、まず土を洗い落として、水気をふき取ってから直火でさっとあぶってひげ根を燃やしましょう。ひげ根だけはすり鉢でもつぶせないので、ここはポイントです。

ひげ根さえなくなれば、皮ごとでよいのですりおろします(気長にすり鉢に自然薯を当ててすりおろしてもいいですが、ものによって皮が残りやすくなるので、おろし金で一度すりおろし、後からすり鉢でするのがおすすめです)。

粘りが強いので分離しないよう少しずつ、だし汁と醤油、好みで溶き卵なんかも加え、ごろごろごろとすって仕上げます。

さあ、熱々のご飯の用意ができたら、すり鉢ごと食卓に。しぶめの食卓で絵になるのは間違いなし、言わずもがな、しみじみと美味しい!

うちでは、ごろごろすり係として娘を任命したりするのですが、食べるとき、「だしがきいてうまいねぇ」などと、作ったからこそ分かる味わい方をしていて面白かったりもします。

今回はとろろ大好きなうちの娘が自然薯をすっているところのワンカット。なかなか手つきも様になってきています。すった自然薯に加えるのは、自然薯250gに対して、だし汁100ml、醤油大さじ1、溶き卵1/2個分くらいが目安かと。醤油は普通の醬油でもいいですが、あれば淡い色合いの薄口醤油がおすすめです。好みで青のりやわさびを添えてどうぞ!

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ