

2009年発売当初から注目を集めたアラビアのRunoシリーズ、四季を表現した定番ラインナップに加え、2010年に登場した冬限定のRunoフロストベリー、2012年にはRunoバタフライが追加され展開を広げていくのですが、2015年末には全アイテム廃番となってしまいます。でも、Runoを復活させる!そんな野望をスコープは抱き続け、何度もアラビアへの提案を重ねた末、Runoフロストベリーにフォーカスしたスコープ別注が2020年冬に実現してしまいます。2020年冬はオーバルプレート25cm、プレート11.5cm、ボウル17cmの3アイテムを復刻、2021年冬にはジャー蓋付0.25Lに加え、エスプレッソカップという新製品を加えました。新製品の追加は波にのり、2022年冬はRunoフロストベリーがより映えるティータイム充実計画を実行!ティーカップ、そしてソーサーとしてもケーキ皿としても使えるプレート16.5cmを登場させます。もちろんスコープで初めて世にでるRunoフロストベリーです。 そして2023年はRunoピッチャー0.4Lを追加、2023年はアラビア150周年という特別な年でしたから、2023年に生産されたプレート11.5cm、プレート16.5cm、オーバルプレート25cm、ティーカップ、ボウル17cm、ピッチャー0.4Lの6アイテムはアラビア150周年の特別なバックスタンプで納品されました。2024年はパラティッシでも大人気となっている期待の新人!日本的食卓で使い易いこと間違いナシ、新作ボウル13cmが登場です。そんなRunoフロストベリーを購入できるのは世界中で日本だけ、日本のスコープだけ。これからも一緒にRunoフロストベリーを日々の生活で育てていきましょう。



「フロストベリーのモチーフになっているのは、ピフラヤ(PIHLAJA)です。冬のシーズン向けにルノのクリスマスコレクションを作ってほしいとアラビアから依頼されていて、そんな晩秋の季節に家からスタジオに向かっていたら、ピフラヤにうっすら霜が降りている様子を見かけたんです。その様子が木にフローズンベリーがなっているように見えて、ルノに使っているダークレッドによく似合いそうだな、と思いました。ルノのウィンターがブルーラインだけだったから、そこをデコレーションしたような雰囲気になるなって。なんだか冬の訪れをお祝いするような、クリスマスだけじゃなく冬を通して特別な日のお祝いに使えるようなシリーズになるんじゃないかと思いました。ちなみに、フロストベリーの実、ポッチがついているのはクランベリー、ついていないものはピフラヤの実を表しています。」そんなヘイニの話を聞いてからヘルシンキ近郊を歩くと、いろいろな場所でピフラヤ(日本ではナナカマドと呼ばれる木)を見かけ、たくさんのピフラヤを撮影しました。最終的に選んだ写真は、アルテックの工場を見学した時、中庭に映えていた立派なピフラヤ。だんだんと自分の家の庭にも植えたくなりました。


ルノとの付き合いは15年以上になるのですが、デザインの原画が手描きだとは知りませんでした。ルノの装飾はコンピューター上で制作されているのだと思い込んでいましたが、実は手描きでした。手描きなんだよとヘイニから聞いても、どこか信じられないというか、実感がわかなかったのですが、ヘイニの家に行って、実際にそのデザイン画を見せてもらって、ようやく!!!でした。非常に細かく書き込まれた原画は、素晴らしかったです。このペンで手描きされたデザイン画から食器に転写するデカールが作られるのですが、原画が手書きなので、どうしても線が太かったり、薄くなったり、筆圧が濃かったり薄かったり、一定ではないから、デカールを作るのもすごく難しいのだそうです。でも、そういったラインは、セラミックに乗った時にすごく生き生きして見えるから、とても好きなんだとも話してくれました。ルノの魅力は、そういった部分からも滲んでいるのでしょう。


モチーフとか、自分のデザインがどんなふうに見えるのか?というのをテストしたくて作ったルノの一番最初のプロダクト、ルノの原点みたいなプロトタイプはチュリーンでした。そこからルノが生まれ、2010年にルノフロストベリーが生まれます。2010年に発売されたフロストベリー、最初にラインナップされたのは、マグ0.35L、プレート11.5cm、オーバルプレート25cm、ボウル17cmの4アイテムでした。マグはルノを立ち上げたときすごく人気になったので加えた記憶があるそうです。それ以外のアイテムはアラビアのブランド側が選んだラインナップ。オーバルプレート25cmはルノシリーズになかったアイテムなのですが、プレート26cmはちょっと大きいと感じていたので、メインプレートとしてオーバルを選んだような記憶もあります。定番にラインナップしていたルノサマーレイ、プレート11.5cmが人気だったのが、実はアラビアでも意外だったようで、あとからフロストベリーにもプレート11.5cmを加えることになったと記憶してます。

ヘイニ・リータフフタがデザインしましたアラビアのRunoは2009年発売当初から凄く注目を集めていました。少し特殊な食器群、ラインナップの構成がとにかく複雑だったところが個性的です。スプリングドロップ・サマーレイ・オータムグロー・ウィンタースターの季節を表現した4バリエーションながら、アイテムによってその展開が異なっていたので、とにかくラインナップが複雑でわかりづらい!そこに明解なルールはなく、言葉で表しますとこんな風に長文となります。マグ350mlとプレート26cmは春夏秋冬4柄展開。エスプレッソカップ、プレート11.5cm、ジャー蓋付0.25L、サービングプラター36cm、ボウル27cmは夏のみサマーレイのみ。ティーカップ、プレート16.5cmはスプリングドロップ&サマーレイの春夏2柄、ボウル17cmはサマーレイとウィンタースターの夏冬2柄。プレート21cmとボウル23cmはウィンタースターのみ冬のみ。そして2010年、2011年には冬限定柄フロストベリーが発売され、これはとにかく僕の好みでした。フロストベリーのアイテム展開はオーバルプレート25cm、マグ350ml、プレート11.5cm、ボウル17cm、ジャー蓋付0.25Lと限られていましたが、伝説化するほど人気でした。そしてRunoに蝶が舞い飛ぶRunoバタフライが2012年に全6アイテムで登場(ティーカップ、プレート16.5cm、プレート26cm、ボウル17cm、マグ350ml、ピッチャー1L)、しかしながらその年から廃番アイテムが出始め、2015年末には全アイテム廃番となりRunoは幕を閉じます。それからRunoがアラビアの定番アイテムとして生産されたことはありません。そして四季の変化、自然を表現した柄のなかから、冬のワンシーン、フロストベリーにフォーカスしたスコープ特別注文によるRunoシーズン2がスタート!それは2020年冬のことです。まずオーバルプレート25cm、プレート11.5cm、ボウル17cmの3アイテムを発売しました。そして2021年冬にはジャー蓋付0.25Lに加え、エスプレッソカップというNEWアイテムを登場させています。そもそもプレート11.5cmがラインナップされていたので、エスプレッソカップがあればカップ&ソーサーとしても使えるだけでなく、その小さな器はアクセサリーのように生活を飾る物でもありますから、いい冬景色となるのです。新製品追加は波にのり、2022年冬にはRunoフロストベリーがより映えるティータイム充実計画を実行。ティーカップ、そしてそのソーサーとしてもケーキ皿としても便利に使えるプレート16.5cmを追加しました。パラティッシやティーマでも一番人気は便利に使えるカップ&ソーサー、Runoフロストベリーにも加えたかった筆頭アイテムがようやく登場です。もちろん過去に生産されたことはありませんから完全なる新製品、スコープで初めて世にでるRunoフロストベリーです。そして2023年はスペシャルなオマケ付きでピッチャー0.4Lが加わりますが、ラインナップが増え全てを継続するのは大変になってきましたから、エスプレッソカップとジャー蓋付き0.25Lは在庫限りで一旦終了することにしました。再生産するならまた数年後を考えています。そして2024年も新たなアイテムを加えながら、冬の食器Runoフロストベリーを育て続けたいと思っています。


Heini Riitahuhta
ヘイニ リータフフタ
ヘイニ・リータフフタは、アラビアアートデパートメントに所属するセラミックアーティストであり、デザイナーでもあります。ヘイニらしい装飾でユニークな作品やデザインを数多く手がけ、現代のアラビアを牽引する存在となっています。ヘイニの作品は、フィンランドの自然を反映したパターン、手描きとパターンを重ね合わせた装飾が特徴的です。現在、フィンランド国内外での展示会やプロジェクトを積極的に行っており、その活動範囲も広がり続けています。日本とも長らく深い関わりがあり、日本ブランドとも数多くコラボレーションしています。ヘイニの代表作はアラビアのRunoシリーズ。スコープとも非常に長い付き合いがあり、特に親しくしているデザイナーの一人です。

