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2019年7月1日
アジ

テレビでもSNSでも、【ダンナが料理をしなくて…電子レンジの使い方すら危うい】なんていう、料理好きな僕からすればちょっと残念な話題をたびたび目にします。

とはいえ、僕の実家もそんなようなもので、料理をするのは母だけ、父が台所に立つ姿なんてほとんど見たことがありませんでした。

でも、そんな父の唯一の得意料理が、この「なめろう」だったことはよく覚えています。豪快な手つきでアジをたたき、薬味や味噌をぶっこんでさらにたたいて、そのままドーン!と食卓へ。父の作る酒のすすむ肴は子供にも嬉しく、それはそれは美味しいものに感じました。

そう、アジなどの青魚の刺身に、薬味ねぎ、生姜、味噌をたたき合わせるだけのこの料理、普段料理をしない人でも美味しく作れることは検証済み(僕の実家にて)。勢いまかせのようで、その「勢い」が美味しさの軸になっていて、逆に母には真似のできない味だったかもしれません。

なめろうについて、「なぜか美味しくできない…」という質問をもらったことがあります。詳しく聞くと魚の鮮度も薬味の組み合わせも悪からず。じゃあ何なのかと考えてたどり着いたのが、調理中に温度が上がって、魚の生臭さが強く出たんじゃないかと。

刺身は冷蔵庫から出したてを食べるのが普通ですが、まな板の上でたたいて作るなめろうは、気を抜くと食べる時にはぬるくなってしまいます。最高に鮮度のいい魚だってぬるくては美味しさ半減なので、ここは気をつけたいところ。

たたく前のアジをしっかり冷やしておく、手早くたたくということはもちろんですが、【盛り付けるお皿も冷やしておく】という下準備も大切です。

さらにこだわるなら、アジを“さく”の状態で買ってきて、たたく前に「水100ml+塩小さじ1+氷ひとつかみ」でキンキンに冷たい塩水を作り、2分くらい“さく”ごと浸して冷やしてみてください。それをなめろうにすれば、なめらかさと薬味のシャキシャキ感の中に、キンとした冷たさが残り、キレのある美味しさに仕上がります。アジはいまが旬なので、夏の冷酒、あたたかい白ごはん、どちらにもぴったりの一皿をぜひおためしくださいね。

旬のアジは脂がのっていてうま味マックスな美味しさ!なめろうの材料は、刺身100gに薬味ねぎ1~2本、生姜10g、味噌小さじ2ほどを目安に、好みでみょうがや青じそをプラスしてたたいても。また、こだわりの“さく”で作る場合は、血合い骨を抜く必要があるので、買うときに抜いてもらうか、がんばって自分で抜きましょう!

(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ