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2009年4月20日
お母さん、キーッセリ作っていい?

PHOTO:原田 智香子

男性や子供が好む甘いデザート、キーッセリ

フィンランドの冬はやっぱり長く、時には素敵な夏が恋しくなったりします。そんな時には、太陽をいっぱい浴びた夏の恵みである山ほどのベリー以上の妙薬はありません。

キーッセリは甘い、特に男性や子供が好むデザートです。キーッセリの作り方はとても簡単なので子供に作ってもらっても良いでしょう。トロリとしたキーッセリは、熱いジュースに冷たい水で溶いた片栗粉を混ぜるだけで、チチンプイプイ ヒラケゴマ! と子供の手の中で出来上がってしまいます。

子供がちょっとぐらいキッチンで片栗粉をこぼしても危険なことはありませんよね。お母様はブルーベリーが床に落ちていないかと、ちょっと目を見張るだけでいいでしょう。真っ白なカーペットに黒いしみがつかないように・・・。

コックさんとなった子供たちはちょっと信用にかけますし、スプーンで直接鍋から味見をしたり・・・なんてことにもなりかねませんが、それだって特に危険なことはありません。ベリーの持つ貴重なビタミンを一度に大量に摂取してしまうという事にはなりますが!

フィンランドの家庭の冷凍庫には必ずベリーが入っています。夏の間ベリー摘みに精を出した人は自分で摘んだベリーを冷凍保存しているはずです。(そうでなかった人も働き者の母親が摘んだベリーがバケツ一杯分くらい、娘の家の冷凍庫に入っているはずです。実はこれは私の話です・・・)

もし、身近な親戚の誰もが夏の間ベリーを摘むことが出来なかった場合には、近所の食料品店の冷凍食品売り場に行けば大丈夫。様々なベリーが売っています。

日本でも冷凍のブルーベリーやイチゴは比較的品揃えの良い店では見つかると思います。フィンランドではラズベリーやコケモモ、ツルコケモモも簡単に入手出来ます。どちらの国でもイチゴはほぼ年中いつでも新鮮なものが入手できますよね。これはそのまま薄切りにしてキーッセリに入れてしまいます。

冷凍保存のベリーはフレッシュなベリーよりも少し酸味が強いのですが、それは冷凍されている間にベリーの持つ糖分が落ちてしまうからです。世の中には、健康のために何があろうとも、どこにも絶対に1グラムでも砂糖を加えない方々がいらっしゃいます。例えば医者をしている従兄弟ですが、いつでも顔をしかめながらとってもすっぱい冷凍クロスグリを食べているんです。しかも美味しいと褒めながら。

私は全く健康狂信者ではありませんので、堂々と、でも少しだけ冷凍ベリーに砂糖か他の甘味料をかけていただきます。こうすることによってベリーの糖分が本来持っていたレベルに戻るわけです。

キーッセリの作り方は幸いとても簡単です。最も大切なポイントはベリーに必要以上に熱を加えないと言う事。ベリーの持つビタミンCが壊されてしまいますし味も落ちてしまいます。熱いキーッセリに冷凍ベリーを入れればベリーはすぐに解凍しますし、必要のない熱を加えることもありません。

フィンランドではキーッセリにはとても古い伝統があります。父方も母方も、両方の祖母がキーッセリを作ってくれたのを覚えています。いつでも夏の初めにはとてもすっぱいルーバブキーッセリ、6月にはイチゴで、7月はブルーベリー、とその時々の旬のもので作ってくれました。祖母が生クリームをホイップして上に乗せてくれると、いつものキーッセリが突然豪華に感じられたものです。嗚呼・・・たくさん可愛がってもらったなあ、と子供時分の夏が思い出されます!

私の母は、キーッセリに冷凍ベリー以外の果物を何でも混ぜて作っていました。彼女の秘密の武器は瓶詰めのジャム。母は冷凍ベリー・キーッセリに大さじ2~3杯くらいのジャムを入れます。ジャムはイチゴでも、ブルーベリーでもラズベリーでも、何でもかまいません。そうすると出来上がりは結構甘くなりますが、ベリーの味がもっと強く感じられるし、また全体的に味にふくらみが出てきます。


Text & Recipe : Hanna Jamsa (ハンナ・ヤムサ)

ヘルシンキを拠点とした現地でのガイドツアーや様々なサービスを日本人旅行者に提供する会社、My Suomi(マイスオミ)代表取締役。実はフィンランド屈指のアンティークコレクターでもある。フィンランド・ヘルシンキ在住。

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ベリーキーッセリはパズルのようなものと考えてください。 始めにジュースを選び、それを片栗粉でとろみをつけ、最後にベリーを加えます。その組み合わせでいろいろなものが出来ます。クロスグリやアカスグリのジュースをベースに作ると味に酷が出ますが、出来上がりは黒っぽくなります。りんごジュースはさわやかな味に仕上がりますし、ベリーがきれいに見えます。キーッセリに使うベリーはお好みでいくつかの異なるベリーを混ぜてください。フィンランド人が好きなのはブルーベリーとラズベリーを合わせたものです。もし、コケモモやツルコケモモなど、酸味の強いベリーを使う時には砂糖の分量を少し増やしてください。