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2022年6月29日
呼吸する和紙を張る

茶箱に張ってある紙っていったい何?恥ずかしながら私は茶箱製作に携わるまで、あの紙にどんな意味があるのか何ひとつ分かっていませんでした。よくクラフトテープが張ってあると思われがちですが、土屋製函所で使っている紙の素材は和紙になります。カットされた細長い和紙に糊付けし、杉板の継ぎ目や節に張ることで箱自体を保護し、強度が増します。完成された茶箱を見てみると和紙には柔らかな趣があり、手にした時の手触りも優しいです。また傷んできたら張り直すことが出来るので、何年何十年と世代を超えて使い続けることが出来ます。和紙には木材と同じように湿気が多ければ吸収し、乾燥していれば放出を繰り返す調湿効果があります。茶箱の外側は環境に合わせて変化しますが、トタンで覆われた内側は外部からの湿気、光、匂いなどから守られます。研修初期の頃、土屋さんが仰っていた「(茶箱は)生きている」という言葉が忘れられません。クラフトテープではなく和紙を使う意味。茶箱という保管箱を作るうえで理にかなった素材なんだなぁと修行を重ね、実感しています。そんな静岡での茶箱修行もあとわずかです。(スコープ柴原)