
東屋 / 伊賀 散蓮華
東屋が手掛ける物の中でも特に長く生産が続いている伊賀。伊賀は職人と土が何百年と同じ土地で向き合い、生産が続いてきた全国でも数少ない産地。そこで長年にわたって培われた職人と土の関係が良い器を作り出すという考えから伊賀での生産が決まり、先人の優れた器を良く知り全国の産地を回りながら器をディレクションされていた渡邊かをるさんに監修を依頼することで、この伊賀シリーズは生み出されました。発売より長い年月が経過していますが、今も変わらず伊賀の土を使い、伊賀の職人が一つづつ手作りしています。さて、この散蓮華。日本で一般的にレンゲと呼ばれる東洋のスプーン、そもそも日本では蓮の散った花びらに形が似ていることから散蓮華(ちりれんげ)と呼ばれていまして、その名そのままに商品名です。東屋の散蓮華は手作りの様子が伝わってくるほど素朴な風合があり、1つ1つの形や釉薬の濃淡、ツヤに個性があります。また裏面に釉薬がのっているのも特徴の1つ。通常裏面へ施釉すると焼き上がった際、焼成台にくっついてしまうので施釉しないことも多いのですが、小さな陶製の爪を立て、出来るだけ浮かすようにして焼成し、最後に垂れた釉薬を削り仕上げます。その跡が裏面にポツポツと各々、散々に。また、この散蓮華は薄手に作られているので手に持てば軽く、使った印象は中華風のレンゲと少し違っています。全体に柔らかいラインをしているけれど、ひっくり返して見てみれば底から持ち手にかけてのラインは、カチっとエッジが効いていて、このバランスが洒落てみえます。大事に大切に使い続けたいと思わせる物、そもそもの散蓮華ってのは、こういう物だったのかな?ナンテ思わせる物、他に見ない物ですから、興味が湧きましたらいつの日にか是非。

蓮華が欲しくなる
僕のそんなとき
スプーンがあるから蓮華は無くても困らないといえば困らないのだけれど、和食器を使って食事をしていても、匙が必要となれば、そこではスプーンを使う。すると使う食器にもよるのだけれど、傷がつくんじゃないか?と、少しばかり気を遣う。実際、ビンテージの食器を買う時にはプレートについた傷がどれぐらいあるのか?そこが大変気になるから、僕の場合はその影響が特に大きいのかもしれない。とはいえビンテージ食器についた傷はナイフがほどんどだろうから、そこまでスプーンが傷をつけるとは思えない。だからスプーン傷の心配は気分というか、印象の話なのだろうけれど、手挽きの器や土鍋なんかを使っている時に金属スプーンを使っていれば、ガリガリと手に振動が伝わる度に、どうもネガティブマインドが生まれている。ならば、もう少し柔らかい物を使いたいと思うわけで、そんな時にレンゲ、それならば東屋の散蓮華がいいんじゃないか、そんな事もあって東屋の散蓮華、その取扱を再開するに至っています。

中華なレンゲでなく
日本の蓮華が欲しい
名古屋人だから一人鍋を使って味噌煮込みうどんをよく食べますし、東屋へどんぶりのイイのが欲しいとリクエストし続けましたら、立て続けに丼鉢 薫、丼鉢 文祥と出てきまして、一気に丼群が満たされましたから、蕎麦やうどんの食生活も充実。これで満足と思った時に一つの穴を発見、レンゲです。良い物がそろってくると、そこにある小さな穴がとても気になるようになるのです。香港、台湾、上海、ベトナム、シンガポールと様々アジア海外へも出かけますから、行きましたら気になっているレンゲを探してしまうのですが、やはり探しに探しても、当然そこには中華であったりアジアを感じるレンゲしかない。探している場所がアジア諸国、中華なのだから当然の話なのですが。では日本でステキな散蓮華が見つかるか?というと、それもナカナカ難しい。白くシンプルで実に薄味な物はいくらでもあるのだけれど、やはりどこか中華に寄っている。まぁ、とにかく日本を感じる蓮華はなかなか無い。つまり東屋の土鍋や丼鉢にマッチした蓮華を見つけ出すのは果てしなく大変な事なのです。まぁ、ない、ないのです。だから、伊賀の散蓮華、なのです。
- 渡邊 かをる (わたなべ かをる)
- 耕房窯 (こうぼうがま)
商品スペック
材質 | 釉薬 : 黒飴(くろあめ) / 志野(しの) / 石灰(せっかい) / 松灰(まつばい) |
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寸法 | 約 W130×D50×H45mm / 25g *詳細なサイズはカート上をご確認ください。 |
生産 | Made in Japan |
備考 | 食器洗浄器 × |
目止めについて |
購入前に確認ください
- 裏面に刻印がありますが、薄い場合や釉薬で見えない場合があります。
- 裏面は爪焼きの整形跡が見られます。