ARABIA / Moominhouse、Afternoon in parlor
2015年、最初のムーミン童話『小さなトロールと大きな洪水』の出版70周年を記念して発売された「ムーミンハウス(Moominhouse)」マグ。限定だったはずなのですが、人気が高かったのか、継続して販売されることになりました。そして、2018年、なんと、ムーミンハウスピッチャー1.0Lが登場。マグには紙製の赤い屋根がついていましたが、ピッチャーの屋根は本体と同じ磁器製! 単なる飾りではなく、蓋として、ばっちり働いてくれます。ピッチャーをテーブルに持ち出す場合、一度に注ぎきってしまうのではなく、ドリンクを多めに入れておいてマグやグラスに継ぎ足しながら、のんびりと楽しむことが多いのでは? もちろん磁器の蓋には魔法瓶のような温度キープ機能はありませんが、蓋なしよりは保温性が高まり、ほこりよけにもなりますし、なんといってもかわいさ倍増です。
そしてさらに、今までになかった小さめサイズのピッチャー、「アフタヌーンインパーラー(Afternoon in parlor)」が新登場! そこには、ムーミンハウスの居間でくつろぐムーミンファミリーの姿が描かれています。
では、まず、ムーミンハウスとはなんぞや?
というところからご紹介しましょう。
原作小説の日本語訳では「ムーミンやしき」と呼ばれているムーミンハウス。小さな生き物たちがおおぜい幸せに暮らしている、どこよりも美しいムーミン谷の草地の真ん中に、どーんと立っています。小説『ムーミンパパの思い出』で、みなしごホームを逃げ出したムーミンパパは、いつか自分が建てたいと願う理想の家の図面を砂の上に描きました。ムーミン族がかつてタイルストーブの奥で暮らしていた頃の面影を感じさせる、塔のような細長い建物に、とんがった屋根。1階には大きな広間がひとつだけ、2階には小さな部屋が3つと何にでも使える納戸、バルコニー、揺り椅子の置ける大きなベランダという間取りです。のちに、ムーミンパパはその夢を実現させ、みずからの手でムーミンハウスを建築しました。
『小さなトロールと大きな洪水』に出てくるムーミンハウスは2階建てで、部屋は3つ。空のような青い部屋、お日さまのような金色の部屋、水玉模様の部屋、そして屋根裏にはお客さん用の部屋がありました。ところが、ムーミンパパ渾身の家は、大きな洪水によって流されてしまいます。落胆するパパと家族たち。冬を過ごせる場所を探して旅をしていたとき、小さな居心地のいい谷にたどり着きました。そこに立っていたのは、パパが作った青いペンキ塗りのムーミンハウス! そうして、ムーミン一家は、ムーミン谷で暮らすことになったのです。小説で最初に描かれたムーミンハウスは2階建てですが、増築して3階建てになった、という設定が追加されます。食料を貯蔵する地下室、1階にはキッチン、2階と3階にはパパの書斎やゲストルーム、さらに天井裏にも小部屋が。ムーミンシリーズはあくまでもファンタジーですから、設定にはあいまいな部分があり、ムーミンハウスの間取りや細部にははっきりしない点がたくさん。ムーミンハウスの構造を知りたいなと思ったとき、ひとつの手がかりとなるのが、トーベ・ヤンソン自身がパートナーのトゥーリッキ・ピエティラと友人のペンッティ・エイストラとともに手がけた2メートルを超える巨大なドールハウスです。タンペレのムーミン美術館に展示されているそのドールハウスは円形ではなく、3階建ての四角い建物の横に4階部分と屋根裏部屋の塔がくっついているという造り。色は水色で、木製のとんがり屋根が乗っています。作品によって見た目には違いがあるムーミンハウスですが、いつでも客人を歓迎する暖かい場所、という本質は変わりません。暮らしているのはムーミンパパ、ムーミンママ、息子のムーミントロールの3人に加え、のちに養女になるリトルミイ(ちびのミイ)、友人のスニフ、スノークメイデン(スノークのおじょうさん、フローレン)、スナフキンらが泊まっていくこともしばしば。小説『ムーミン谷の冬』以降はご先祖さまがストーブに住みつき、冬の間はサロメちゃん、ホムサ、フィリフヨンカ、『ムーミン谷の十一月』ではミムラねえさん、スクルッタおじさん、ヘムレンさんらが滞在したほか、じゃこうねずみ、トフスランとビフスラン、ニンニ、ミムラ一家など、たくさんのゲストが訪れ、さまざまな出来事の舞台となりました。
マグとピッチャーの絵柄について、
もっと詳しく見ていきましょう。
ムーミングッズというのは基本的に、原作者トーベ・ヤンソンが描いたアートをベースにしています。アラビアの場合は、デザイナーのトーベ・スロッテが原画をトレースし、別の場面の絵を組み合わせたり、足りない部分を追加したり、反転させたりと、細かいアレンジを加えていますが、原則的にはスロッテがオリジナルで描き下ろすということはありませんでした。しかし、ムーミンハウスマグは、スロッテがフィンランドのムーミンワールドにあるムーミンハウスなどを参考にして、新たに描き出したものだといわれています。窓からのぞくキャラクターたちの姿は、ヤンソンの原画に忠実に、ムーミンの世界観を大切にしつつ、スロッテの好みやテイストも感じられるものになっています。ムーミンワールドは1990年に日本で放映された『楽しいムーミン一家』(テレビ東京系)の世界的なヒットを受けて作られたテーマパークで、園内に立つムーミンハウスのデザインもアニメを踏襲。鮮やかな青の外壁、赤い屋根は『楽しいムーミン一家』に登場するムーミンハウスにそっくりです。そのイメージを引き継いで作られたのが、アラビアのマグとピッチャーというわけです。マグとピッチャーを比べてみると、窓の装飾やカーテンなど細部のデザインは少し違いますが、赤い屋根、ステンドグラス入りの扉のあるベランダ、その上に垂れている縄ばしご、石垣、ベランダの反対側にある玄関など、おおまかな造りはまったく同じです。マグのムーミンハウスの玄関では、ムーミンママがにっこりと笑顔でお出迎え。たくさんの窓からは両手を挙げたムーミントロール、身を乗り出したムーミンパパ、スニフ、スノークメイデン、頬杖をつくミムラねえさん、フィリフヨンカらがのぞいています。閉じた窓の向こうにそっと佇むはにかみやのサロメちゃん、着飾ったヘムレンおばさん、スティンキーの姿も。リトルミイはしゃぼん玉を吹き、スナフキンは玄関でパイプをくゆらせています。ピッチャーはというと、窓から顔を出しているのはムーミントロール、スノークメイデン、ムーミンパパ、メイドのミーサ。二階の窓のカーテンの影からそっとのぞいているのは、ムーミン・コミックス「家をたてよう」(『恋するムーミン』収録、筑摩書房)で、ムーミンハウスにやってきて騒動を巻き起こすミムラ一家の男の子でしょうか。ベランダに立っているのはリトルミイ。花壇に水やりをしているムーミンママの絵は、サマーマグ「ローズガーデン」と同じです。横笛を吹くスナフキンの姿は、絵本『さびしがりやのクニット』からの引用。スティンキーは白い花の間に隠れるように潜み、コミックスに出てくる犬の姿もみえます。
新登場の小さめピッチャー、「アフタヌーンインパーラー(Afternoon in parlor)」はサイズ感やフォルムだけでなく、絵柄も今までとは少し雰囲気が違います。ざっと探してみたのですが、これとまったく同じ場面は原作にはなさそう。おそらく、トーベ・スロッテが細かく絵を組み合わせて構成したのだと思われますが、まったく違和感なく、ひとつの場面が新しく生み出されていることに驚かされます。ムーミンハウス1階の居間(パーラー)で、赤い椅子に座って本を読むムーミン。テーブルをはさんで、ムーミンママが編み物をしています。ムーミンパパは緑の長椅子でお昼寝。ちょこんと椅子に座るリトルミイの姿も。取っ手の横に描かれているのは、パーラーキャビネットと呼ばれるクラシカルな家具。脚の色やデザインを見ると、椅子やテーブルとセットでしょうか。その上にはランプと、花の絵のついた花瓶。壁にはスノークメイデンと思われる絵が飾られています。パパが寝落ちして落とした新聞、タイルストーブの横の調節器の紐など、細部にもご注目! 小説にせよ、コミックスにせよ、原画は白黒なのですが、ピッチャーの絵には暖かみのある色がつけられています。キャラクターは細めの黒い線で表現され、背景の壁紙やブランケットなどは白抜きで柔らかい印象。季節を問わず活躍してくれる絵柄ですが、青系統のウィンターマグともばっちり合うはずです。
「ムーミンハウス(Moominhouse)」のピッチャーとマグは、もちろんセットで使うのも楽しいのですが、ムーミンハウスピッチャーの周りを定番キャラクターマグで囲むと、どんどん物語が広がっていくよう。また、ムーミンハウスピッチャーに紅茶&アフタヌーンインパーラーにミルク、ムーミンハウスピッチャーにミネラルウォーター&アフタヌーンインパーラーに濃縮ジュースやシロップなど、使い方のアイディアもどんどん広がっていきます。アフタヌーンインパーラーはケーキに沿えるクリームやフルーツソースを入れてもよさそうです。テーブルの上で、あなただけのムーミン谷ごっこを展開してみてください。text:萩原まみ(ライター)
2021年7月1日
ムーミンピッチャーとカトラリー
スコープのキッチンツールキャニスター、小さなカトラリーを納めるバージョンは追々作りたいと思ってはいますが、その前に今ある物で代用できるナニカはナニカ?と掲示板へご質問をいただき、そこで、ある本を思い出しました。スコープを始めて数年の頃に発売され、北欧ブームの火付けともなりました伊藤まさこさんの《まいにちつかうもの》、その本を思い出しました。といっても、ちょいちょい思い出しています。そこにあったアラビアのムーミンジャグをカトラリースタンドとして使う、それは結構な注目の使い方だったのです。今スコ―プでラインナップしているムーミンピッチャーは小振りだから、小さなカトラリーたてにはナイスなんじゃないか?とやってみましたら、やはりイイ感じでした。小さなカトラリー、沢山はなかったから寂しかったので、ペーパーナプキンを添えましたが、これが布でもいいんじゃないかと思います。自分達のスタート地点に話題となり、大いに影響をうけた本として《まいにちつかうもの》はあります。そして映画は《かもめ食堂》です。先週末《かもめ食堂》を半分だけみたんだけど、いい映画ですね、しみじみいいです。そして見慣れた光景ばかりの今だから、なんだか不思議な感覚でした。映画に登場するOPAのケトル、TOOLSの鍋、ティーマのカップ&ソーサー、アルテックの家具、そして24h Avec、それらは今でも輝いていて、全く色褪せて見えなかった。で、話しは戻りますけれど、コーヒースプーンやティースプーン、オードブルフォークといった小さなカトラリーを納めるのでしたら、Moomin ピッチャー0.35L Afternoon in parlorはクリティカルヒットです。(シャチョウ)
- ブランド
- Arabia (アラビア)
- デザイン
- Kaj Franck (カイ・フランク)
- 原作
- Tove Jansson (トーベ・ヤンソン)
商品スペック
- 材質
- 磁器
- 寸法
- マグ:約φ80×W110×H80mm / 260g
300ml(容量はメーカー表記です。実際の満水容量は、約280mlになります。)
ピッチャー Moominhouse:約φ125×W175×H215mm(蓋なしH145mm)/ 695g / 1000ml
ピッチャー Afternoon in parlor:約φ95×W145×H75mm / 295g 390ml - 生産
- Made in Thailand
- 備考
- パッケージはありません
オーブン(直火不可):○ / フリーザー:○ / 電子レンジ:○ / 食器洗浄機:○
購入前に確認ください
- 小さな黒点やピンホール、多少のがたつきは良品としています。
説明書ダウンロード:陶磁器
〈在庫限り販売終了〉
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ピッチャー1.0L Moominhouse
8,250円 (税込)あと 46個
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ピッチャー0.35L Afternoon in parlor
6,050円 (税込)販売終了しました